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あなたになら


 うららかな春の日差し。
 その下で、宮藤と静夏は向かい合っていた。
「宮藤さんっ! なんでですか!?」
 そう叫ぶ静夏の表情は険しい。
「なんでっ! なんで……っ!」
 その一方で、どこか辛そうでもある。
「なんで私の赤ちゃん産んでくれないんですか!?」
 しかし、心底しんどそうな顔をしていたのは、芳佳の方だった……。
「ごめん、静夏ちゃん……。私、静夏ちゃんが何を言いたいのかわからない……。っていうか、何を言ってるのかわからない」
「私、宮藤さんのようになりたいんです!」
「話繋がってないよね!?」
 静夏がくるまでは、ボケは芳佳の役割だった。その芳佳が圧され、ツッコミを入れている。異常事態と言っていい。
「ですから、宮藤さんに私の子どもを産んで欲しいと……」
「そこはわかったよ! いや、わからないけど、なんで突然!?」
「私、宮藤さんのようになりた」
「そこはいいから! 私が産むこととどう関係があるか教えて!」
「あ、はい。宮藤さんに宮藤さんを産んでもらえば、私はたくさんの宮藤さんをお手本にできると思うんです」
「静夏ちゃん! 待とうか!」
 芳佳の額には、脂汗が浮かんでいる。
「仮に私が産んでも私は増えないからね! 産まれてくる子は私じゃないからね!?」
「それはそれとして」
 静夏は懐から二枚の紙を取り出し、広げた。どちらにも文字が書かれている。
「名前は『芳夏』と『静佳』、どちらが良いでしょうか」
「だだかぶりだあ! 字面はともかく、口に出すと家庭内が凄まじくややこしくなるよ! っていうか、それはそれとしないでほしいなあ!?」
「芳静と書いてほうせい、と読むと、男の名前っぽいですし……」
「あ、男の子が産まれるっていう発想はないんだ……」
 静夏の怒涛のボケに流されつつあることを自覚しつつ、芳佳はこの状況の打開策を探っていた。
 その過程で、ふと、思い当たったことがある。静夏には子どもを産むということについて、全く知識がないのではないか。
「ね、ねえ、静夏ちゃん? 赤ちゃんってどういうものか知ってる?」
「愛の結晶と聞いています」
「え、あ、うん」
「愛があればできます!」
「それだけ!?」
「他に何かあるのですか?」
「え。いや、ええー……」
 最低限の仕組み、保健体育で習わなかったのだろうか。
「あ、あのね、静夏ちゃん……」
 芳佳は静夏の耳に口を寄せた。
 教えてやらねば、将来があまりにも不安にすぎる。とはいえ、大声で講義することでもない。
 そして五分後。
「ふっ、不潔です!!!!」
「私が言い出したことじゃないからね!?」
「みっ見損ないました! 宮藤さんが、そんなこと……っ」
「一般常識! 一般常識だから!」
「そんなこと、そんなことを……っ! 私にしようとしていたなんて!」
「してないよね!?」
「で、でも、宮藤さんになら私……」
「ストップ! なんで顔を赤らめながらもじもじするの!?」
「わ、私っ! 恥ずかしいの我慢しますから!」
「お願い静夏ちゃん、戻ってきて!」
「よ、よろしくお願いしますっ! 宮藤さん!!」
 ……そう叫び、飛びついた静夏を投げ飛ばした芳佳の巴投げは、それはそれは、見事な技だったという。


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