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スオムス文庫 芳イラ-9-1『傍迷惑』

「ミヤフジ、お手」
「へ?」
 洗い物をしていた宮藤は、冷たく濡れたまま、差し出されたエイラの白い手に、自分の手を重ねた。
 エイラはその手を掴むと、ぷにぷにと両手でいじくりまわし、真剣な顔で頷いている。
 相変わらず何を考えているのか分からない人だ。
 宮藤は頭上に『?』を浮かべながら、エイラのすることを眺めていた。
「……お前の手、子どもみたいだな」
「なっ!?なんなんですかいきなり!」
「サーニャの手はさぁ……、こう、白くて細くて、精巧な人形みたいなんだよ……」
 虚空を見上げ、うっとりと呟くエイラ。暇を持て余し、ただちょっかいを出しに来ただけだったらしい。
「ノロけは後で聞きますから……。今、洗い物中ですし」
「それに比べてお前の手はぬいぐるみだな」
「ほっといてください!」
 宮藤は手を振りほどき、洗い物を再開した。
 まるで太っていると言われたみたいで、微妙な年頃の宮藤にとり、それは痛いところだった。
 確かにこの頃の宮藤、以前にもましてよく食べる。
「なんだよ、怒ったのかよ」
「怒ってません」
「なーミーヤーフージー」
「……」
 むすっとした顔で、黙々と洗い物を続ける宮藤。怒っていないと言いながら、まったく説得力がない。
(突然どうしたんだ、ミヤフジのやつ……?私が何を言ったわけでもないし……。仕事の邪魔したからか?あ、それとも……)
 エイラはエイラで、まるで見当はずれな推測を立てていた。噛み合わない二人である。
「……?エイラさん、なにしてるんですか?」
 五分後、そこそこ怒りも治まってきた宮藤は、隣でエイラが何かをしていることに気がついた。
 エイラの手元にはパンと野菜、それと何故か、リベリオンの缶詰。
 パンやトマトが不器用に切り分けられ、周囲は汁とパン屑でぐしゃぐしゃになっていた。
「見ての通りだけど」
 さも当然、という顔で言われても、食材を無駄にして厨房を汚しているようにしか見えない。
「あの、それ……」
 宮藤はエイラの手元に目を止めた。
「これか?私特製スオムス風サンドイッチだ」
 ふふん、とエイラは胸を張り、ぐしゃぐしゃの野菜とスパムを、ボロボロのパンで挟んだものを差し出した。
 どこにスオムスの要素があるのかさっぱりわからないが、宮藤は勢いに押されるようにして、それを受け取ってしまった。
「サーニャちゃんのご飯ですか?」
「はぁ?どうしてそうなるんだよ」
 どうしてそうならないんですか、とは思っても言わない。エイラの行動に説明が必要なのは、今日に限ったことではないのだ。
「その、じゃあどうすれば……」
「扶桑じゃサンドイッチに食う以外の使い道があるのか?」
「ありませんけど……」
「じゃあ食えば良いだろ」
「私が?」
「お前が」
「はぁ……、いただきます」
 よく分からないままに、宮藤は肉と野菜がごちゃごちゃになったサンドイッチに、口をつけた。
 パンは水気でぐちゃぐちゃ、野菜は不揃いでぽろぽろと落下する。そこにスパムの油が加わって、何というか、あまり美味しくはない。
「どうだ?」
 しかし、それをエイラに言うわけにもいかず、
「お、美味しいです!」
 作り笑いでそう言うしかなかった。
 エイラは満足そうな顔でうんうんと頷き、
「腹が減ると機嫌が悪くなるっていうしな。我慢は良くないぞ。じゃ、後はよろしくな」
 そう言って、食堂から出ていってしまった。
 宮藤は狐に包まれた顔でサンドイッチを平らげ、
「エイラさん、何しに来たんだろう……」
 そう呟くと、今一度、惨憺たる有様の厨房を見て、ため息を吐いた。



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