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スオムス文庫 パティアン-1-1『理解不足のバレンタイン』

「ほら大将。チョコと一緒にガム食べると溶けちゃいますよ。ぺっしてください、ぺっ」
「ぺっ」
「あの二人は相変わらず平常運転ですね」
 昼休み、私とパティはやることもないまま、ドミニカ大尉とジェーン大尉のやりとりを眺めていた。
「そうねー。微笑ましいというかなんというか(部屋でやりなさいよ)」
「……パティ、本音が漏れてます」
「えっ。ほんと?聞こえてたらどうしよう……(聞こえるように言ってるし)」
「……」
 パティはいい子だ。人付き合いの苦手な私にも積極的に話しかけてくれる。
 しかし時々、怖いと感じるのは何故だろう。
「ま、仲がいいのは良いことよね(こっちが苦労してるっていうのに、憎たらしいわ)」
「はぁ、パティも大変なんですね」
「あんたね……(本当に気付いてないのかしら……)」
「?」
「いいわ、なんでもない。それより私の部屋でお茶でもしない?ここにいても邪魔になりそうだし(アンジーが鈍いのは知ってるし、攻めの一手しかないわよね)」
「?構いませんが……」
 本音が聞こえるのはともかく、その内容が今ひとつ理解出来ないのは、私が人の心の機微というものに疎いせいなのだろうか。
 パティに手を引かれた私は、彼女の部屋へとやってきた。
 パティの部屋は私の殺風景な部屋と違って実に女の子らしい。
 淡い色の絨毯がしかれ、レースのカーテンが風になびき、可愛らしいぬいぐるみがそこらにお行儀よく座らされていた。
 それに、これはお香だろうか?なんだかいい匂いもする。
「適当に座って(もう……、こう言わないとずっと突っ立てるんだから……)」
「あ、はい、すみません……」
 いつだってただ立ち尽くしているわけではなく、これが年頃の少女の部屋というものかとつい関心してしまうだけなのだが。
 椅子に座ってもつい部屋の中を見回してしまう。
 私の部屋も少しいじってみようか。……駄目だ、似合わない。それに機能上なんの向上もない。
 人のすることは良いと思えるくらいにはなったが、やはり自分でやるとなるとただの無駄としか思えなくなってしまう。
 そんな事を考えているうちに、テーブルの上には着々とお茶の用意が整えられていった。
「あ、ごめんなさい。何も手伝わなくて……」
「いーの。あんたは座ってなさい(危なっかしくて見てらんないし)」
「うう……、パティ、せめてこういう時くらいは本音を隠してください……」
「あら、また言っちゃった?ごめんごめん(ま、やめないけど)」
「パティ!」
 私は傷ついているというのに、何故かパティは楽しそう。
 そういえば、前にいじめがいがあると言われたことがあった。酷い話だ。
「あれ、今日はチョコレートなんですね。いつもはスコーンやクッキーなのに」
 私がそう言うと、何故かパティは呆れた顔になって、
「まさか、アンジー?今日が何の日か知らない、なんてことはないわよね……?」
 本音が続かないということは、パティは真面目に話をしている。私も答えに気をつけなければ。しかし、何も……、浮かばない。
「今日ですか……?特に、特別な訓練や当番のある日では無かったと記憶していますが……」
 目の前で大きなため息を吐かれた。私はそんなに不味いことをいったのか……?
「あのね、バレンタインデーよ?女の子の常識よ?」
「バレンタイン……、ああ、そういえば」
「それで?」
「それでって……、えと、チョコレート美味しいです」
「ちーがーうーでーしょー!?」
 突然パティの手が私の両頬に伸ばされ、おもいっきり横に引っ張った。
「い、いひゃい!ひゃひをひゅるんひぇひゅ!」
「もう!どうして鈍いのよ!」
「ふぇ?」
「女の子が好きなヒトに贈り物をする日なの!」
「ふぉうふぇふふぁ」
「そうですか、じゃないわよ!私はあんたにチョコを贈ったの!わかる!?」
「ふぇっ」
 ぐわっと顔が熱くなったのがわかる。
 真っ赤になったのが、パティにもわかったのだろう、指が離され、喋ることが出来るようになった。
「あ、あの、パティ……?それは、その……、私は嫌われていないということで……」
「なんでそんな言い方しか出来ないのよ、もう……。好きなの。好き好き。大好き。これでわかった?」
「は、はい、あの、多分……」
 パティは頭を抱えるようにして俯いている。表情はよく見えない。でも、長い髪から覗く耳は真っ赤になっていた。
「なんで私が説明しないといけないのよ……」
「ご、ごめんなさい……。私はよくわからなくて」
「違うでしょ!?そこは謝るところじゃないでしょ!?」
 ぐわーっと顔を近づけて、パティは叫んだ。
「パ、パティ、か、か、顔、近い……、です……」
 私はといえば、もう冷静に言葉が出てこない。パティの顔が近くにあればなおさらだ。せめて少し顔を離して、オーバーヒートした頭を冷ます時間が欲しい。
「ダメ」
「で、でも」
「あんたはここまで私に説明させたのよ。だから責任取りなさい」
「い、言ってることが滅茶苦茶です」
「もう何もかも滅茶苦茶なのよ!アンジーの鈍さのせいでね!!」
 よくわからないが、私が悪いらしく、パティは怒っている。
 混乱した私の頭でも、このままだとパティに嫌われてしまうというのは理解できた。
 でも、どうすればいい?
 先程謝るのは違うと言われたばかりだ。
「パティ」
「何よ」
 それなら、ごめんとは別の、正直な気持ちを言えば良い。適当な言葉を並べて取り繕うのは、絶対にやっちゃだめだ。
「パティ。その、ありがとう」
「……っ」
「嬉しかった……、いや、嬉しい。今でも、すごく」
「あんたは……、あんたはぁぁぁぁぁ……!!」
 パティは私の頭を掴むと、勢い良く前後に揺さぶった。どうやら、パティの求める答えを返すことが出来なかったらしい。
 ぐわんぐわんと頭をシェイクされ、手を離されたときには世界が回っていた。
「な、なにをするんれす……」
 言いかけた私の唇に、何か柔らかいものが触れて離れた。
「ぱ、ぱてぃ……?」
「はぁ……、突然アンジーにわかれって言った私がバカだったのよね」
「とおまわしにバカにされてるきがします……」
「あったりまえでしょ、このにぶちん」
「ぱてぃ……」
「そんな寂しそうな顔しないの。ゆっくりわからせるだけなんだから」
「よくわかりませんが、がんばってりかいします……」
「……やっぱダメかも」
 ようやく平衡を取り戻した頃には、パティの顔はいつもの余裕のある顔に戻っていた。
 もう少し、赤い顔のパティも見ていたかったな。
 そう呟いたら、足を踏まれてしまった。



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