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スオムス文庫 サニャイラ-17-1『Kiss』

「エーイラっ」
「うわっ!?」
 急に背中を叩かれ、驚いたエイラが振り向くと、何か企んだ顔のハルトマンが立っていた。
「……私急ぐから」
 そう言って立ち去ろうとすると、
「ふっふっふ。非番なのは調査済みなのだ」
 肩を掴まれた。
 予知能力を使うまでもなく嫌な予感がする。
「あー、えーと、宮藤と約束が」
「宮藤は今訓練中だけど?」
「ミーナ中佐に呼び出されて」
「おっかしいなぁ。さっきミーナにエイラの予定聞いたら何も無いって言ってたんだけどなぁ」
「ぐっ……」
 ますます目の前の笑顔が悪魔的に見えてくる。
「まーまー。話し聞きなよ、悪いようにはしないからさぁ」
「無理だな」
 悪いようにはしない、という人間が本当に悪いようにしないことなど、あり得ないのだ。
「ホントホント。さーにゃんに頼まれてね」
「サーニャ!?」
「そ。どう?興味でた?」
「さ、サーニャの話なら仕方がないな……。ちょっとだけだぞ」
 チョロいな。ハルトマンは心の中で呟いた。

 ハルトマンが付いて来いというので、エイラはその後を追った。
「はい、とーちゃーく」
「空室?なんでわざわざ空室に来るんだ?」
「廊下なら誰が聞いてるかわかんないじゃん?ほら、入った入った」
 なんとなく気がすすまないまま、ハルトマンに背を押され、部屋に入るエイラ。
 室内を見回したが、特におかしなところはない。どうやら悪戯の類ではないらしい。
「さて、エイラ君」
 改まった、というよりは芝居がかった様子でハルトマンは話を切り出した。さりげなく扉を背にし、逃げられないようにしていることにエイラは気付いていない。
「君は今日が誕生日だったね」
「なんだよその喋り方……」
「答えたまえ」
「あー……、そうだけど、だからなんだよ。プレゼントでもくれるってのか?」
「ふっふっふ。プレゼントをあげるのは私ではないよ」
「はぁ……?」
 ハルトマンはちらり、とエイラの背後のクローゼットに目をやった。
 何かあるのか?エイラもそちらを見たが、何も無い。
「まぁ、それは置いておくとして、実はさーにゃんから相談を受けたのだよ」
「サーニャから?」
 サーニャから相談……。私に相談せず、ハルトマンに相談なんて、水くさいじゃないか。
 エイラは軽く落ち込んだ。
「エイラの誕生日に贈るものが決まらないのでどうしましょうってね」
「ぷ、ぷれぜんと!?」
 うつむきかけた顔がガバッと上がった。
「そ。自分で聞くのも恥ずかしいからって」
「そ、そんな……。奥ゆかしいなぁ……、可愛いなぁ……」
「おーい、もどってこーい。話まだ終ってないぞー」
「ハッ」
 エイラは慌ててにやけた口元を引き締めた。
「で、何が欲しいんだい?」
「サーニャから貰ったものなら何でも嬉しい!」
 ドヤァッと得意げに胸をはるエイラ。
 ハルトマンはそんなだからさーにゃん困ってるんじゃん……、とは流石に言わず、
「折角の誕生日なんだし、さーにゃんが聞いてるわけじゃないんだから、ちょっとワガママに欲しいもの言ってみなよ」
「えー……」
「その中から選んでさーにゃんに伝えてあげる。今日になるまでずっと悩んでたんだよ、さーにゃん。涙目でどうしようって私に相談してきたんだから」
「さ、サーニャがそんなに……!うう、ちょっと待て。今考える……」
「あ、でもこれから用意するんだと間に合わないし、なるべく簡単なのがいいんじゃない?」
「別に今日もらわなくてもいいけど……」
「贈る方の気持ちも大事なんだぞ?」
 そう言われると、返す言葉もない。
 ハルトマンは普段適当なくせに、こういう時に限ってやたらと核心をついてくるのだった。
「手料理……」
「おー、いいんじゃない?」
「いや、駄目だ。サーニャは疲れてる」
「えー」
「サーニャの写真……」
「ちょっと遠慮しすぎじゃない?」
「そ、そうか……?うーん、そうなると、欲しい物って特にないな……。サーニャがいてくれれば私はそれでいい。なんてな!なんてなー!!」
 ハルトマンは段々面倒になってきた。イラッと来たのを隠しつつ、
「あ、じゃあさ、キスとかどう?」
「キ、キキキキキキス!!?」
「さーにゃんがおめでとーってちゅーを……」
「ふ、ふざけんなー!!」
「え?だめ?」
「だ、ダメっていうか、サーニャにそんなことさせられないっていうか、そういうのでサーニャにさせるのは違うって言うか」
「さーにゃんにちゅーして欲しくないの?」
「欲しい!欲しいけどそんなことサーニャに言えるわけないだろ!サーニャだって嫌に決まってる!」
「嫌じゃない……」
「サーニャ、我慢しなくてもいいんだ、ぞ……?」
 真っ赤になって首を振るエイラの後ろから、別の声がした。
 ハルトマンは正面でにやにや笑っている。
 ゆっくりと振り返ると、頬を赤くしたサーニャが立っていた。
 クローゼットの扉が開いている。サーニャはずっとあそこに隠れていたのだ。
 血の気が音を立てて引いていき、エイラの顔が真っ青になった。
「き、聞いてた……?」
「うん……」
「は、ハルトマンンンンンン……!!」
「わっ!?」
 エイラはハルトマンの襟首を掴んだ。
「お前っ、お前えええええええ……!!」
「うわ、エイラ泣いてる!?」
「お前のせいでサーニャに!サーニャに……!」
 ボロボロと目の端から涙が零れている。
「やめて、エイラ……」
「うっ、ううっ、違う、違うんだサーニャ……、私は、私は別に……」
 サーニャに肩を掴まれ、エイラはハルトマンから手を離すと力なく膝を付いた。
「する……」
「わ、私、サーニャにそんなことさせようなんて思って……えっ!?」
「キス、する……」
「だ、ダメだよサーニャ!」
「エイラがして欲しいなら、私……」
 言いながら、目を閉じたサーニャの顔がどんどんエイラに近づく。
「さ、さぁ、にゃ……」
 ぷにっとした感触が、エイラの唇に触れた。
「もう一回……」
 ちゅっ。
「もう一回……」
 ちゅっ。
 サーニャはなんどもエイラの唇に自分の口を押し当てる。
「あー……、お幸せに?」
 失神して動かなくなったエイラと、夢中でキスを繰り返すサーニャを残し、ハルトマンはそっと部屋を後にした。



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