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スオムス文庫 シャーゲルハル-1-1『バウムクーヘン・パーティー』

「ハッピーバースデー!」
 祝いの席と言うには、内装も無く、食事も普段どおりというあまりにもささやかすぎる食堂で、一同はバルクホルンの誕生日を祝った。
「ああ、ありがとう」
 少しばかり照れた様子で礼を述べるバルクホルン。そしてすぐに食事が始まった。
 誰も騒ぐ様子はないが、いつもより少しだけ、浮ついた食事の風景。皆、バルクホルンの誕生日を喜んでいる証拠だった。
「誕生日くらい、素直に祝ってもらえばいいのにねぇ」
 ハルトマンが、バルクホルンへ聞こえないようこっそりと呟いた。
「仕方がないさ。あいつがこうして欲しいって言うんだから」
 シャーリーはあっけらかんとしている。
「ごちそう食べそこねちゃったなー」
「ははっ。ほんとにな」
 笑っているが、もちろんそんなことが本心ではない。
「確かに時期は時期だし、クリスのいないところでパーティーやるわけにもいかないって気持ちは分かるけどさ」
 口を尖らせるハルトマン。シャーリーも、やれやれといった表情で肩をすくめている。
「ま、本人の希望じゃ無下にするわけにもいかないしな」
「トゥルーデの堅物ぅ……」
「言ってやるなよ。大分マシになってるだろ」
「ぶーぶー」
 不満げな二人は、宮藤やリーネから祝いの言葉をかけられてしきりに照れているバルクホルンを、じっと見つめ続けていた。

「おーい。入るぞー」
 白い箱を抱えたシャーリーが、ハルトマンとバルクホルンの部屋の扉を叩き、そのまま返事を待たずに部屋へ入った。
「はいれ……、大尉。せめて家主の返事を待ってから入るわけにはいかんのか」
 バルクホルンは呆れ顔だ。
「ハルトマンは?」
「いるよー」
 声の方を見ると、白い手がごみ山のてっぺんから覗き、ひらひらと振られている。
 御世辞にも整理整頓に熱心とは言えないシャーリーだが、よくもまぁ、あんなところでくつろげるものだと感心してしまう。
「それで、どうした。お前が訪ねてくるのは珍しいが」
「ああ、そうだそうだ。プレゼントを持ってきたんだよ」
「プレゼント?」
 柔らかく微笑んでいたバルクホルンの顔に、少しばかり赤みが差した。
 照れてるのか、なんて、普段なら言っただろうが、黙って飲み込む。今日くらい茶化さずちゃんと祝ってやろうと決めていた。
「ほら、こいつだよ」
 シャーリーが抱えていた箱をテーブルに下ろし、蓋をあける。中にはシンプルな、バウムクーヘンが入っていた。
「ケーキの無い誕生日なんて、あり得ないだろ?」
「べ、別にもうそんな歳では」
「はーい、トゥルーデどいてねー。ロウソク立てるよー」
「あ、お、おい、ハルトマン!」
 取り出されたバウムクーヘンへ、小さなロウソクが無造作に突き刺されていく。
「おいおい、ハルトマン。お前いったい何本刺す気だよ?」
「あれ?トゥルーデいくつになったんだっけ?」
「お前らなぁ……」
 ふぅ。ため息を付き、バルクホルンは肩から力を抜いた。これくらいの方が、自分たちらしい。
「じゃー始めるかー。せーのー」
「はっぴばーすでーとぅるーでー」
「はっぴばーすでーばるくほるーん」
「……いや、そう言うのはいい」
「あ、そう?」
「じゃあさっさと食うかー」
「馬鹿、火くらい消させろ!」
 慌てて吹き消すバルクホルン。ハルトマンとシャーリーは笑顔を見合わせ、
「おめでとー!」
「おめでとう!」
 主役の顔が、真っ赤になった。

「はい、トゥルーデー。あーんして、あーん」
「あ、ずるいぞハルトマン!ほーれ堅物ーこっちのも食えー」
「お前ら……」
 両脇にシャーリーとハルトマンが密着し、交互に頬へとバウムクーヘンが押し付けられてくる。
「あんむ……」
「ほれ、堅物、こっちのも食えって。こっちの方が甘いぞー」
「どっちも一緒だよーだ。はい、トゥルーデ、おかわりあるからねー」
 二人は一口も口にせず、次々に甘い塊を運んでくる。
 まさか、ワンホール食べ終わるまでこれが続くのか?
 照れくささも失せ、ただ二人の好意を受け入れる覚悟を決める、バルクホルンであった。



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