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暴力的三顧の礼サンプル

裏NININ



COMITIA94SPで相方と一緒に出したコピー本の萩原担当分サンプルです。





「翼にッ友達がッ出来たァァァァァァァ!!!!」
 心静かに弁当をつつきたい、そんな憩いの時間昼休み。全く周囲に配慮をしない大音声をあげつつ、巨漢、飛羽棗雲(ひば そううん)は現れた。
「うお!?ゴリラ!?」
「え!何処!?」
「なんだ、棗雲か」
 驚かせないでくれ。
「で、なんだって?」
「だから、妹の翼に友達が出来たんだよ!」
 野太い声で咆哮を上げるゴリラ。
 周りにいるクラスメートはドン引きだ。俺だってドン引きしている。
 誰か助けて欲しい。そう思って周囲を見回すが、誰も目を合わせようとはしなかった。
「薄情者共……」
「?」
 しかし、翼に友達?
 飛羽翼。棗雲の妹であり、この俺、葛原龍太郎の天敵。協調性が微塵もなく、兄とごく少数の認めた人間以外とは一切付き合わない、狂犬女子中学生。
 有り得ないだろう。
 俺は箸を置いて棗雲を見つめた。それはもう、菩薩の如き慈悲深い目で。
「棗雲……ついに脳のゴリ化が……」
「やめろ。そんな目で俺を見るな。……ゴリ化?」
 この男、顔は悪くないのだが、鍛え上げた体躯と脳味噌がゴリラ並。良い意味でも悪い意味でもゴリラだった。そして、それは年々進行していて、高校卒業後の進路は野生に帰ることだと、勝手に思っている。
「とにかく。翼に友人が出来るとか、無い。誰から聞いたんだ?」
「翼からだ!あいつはそういう見栄ははらん!間違いない!」
 机を叩いて力説された。
 確かに翼はそういう見栄や嘘とは無縁だ。そこは俺も認めている。
 というか、今、机……。
「まさか……」
 考え込むふりをして、俺は机の足に目をやった。
 気のせいだと思うのだが、先程の一撃で足が歪んだような。いや、いかな棗雲とはいえ、軽く机を叩いたくらいで……。
「む?どうした、反応薄いぞ」
「あ、悪い。ちょっとばかし考え事をしていた。続けて」
 深く考えたら負けな気がした。気のせいだろう。そういうことにしておく。
「まったく……俺の妹はお前の妹だろう。ちゃんと考えてやれ」
 違います。
 呆れたように言う棗雲がやたら腹立つ。
 その上、目を合わせようとはしないくせに、周囲からは『葛原、そのゴリラなんとかしろよ』オーラが立ち上っていた。何とかしないと後で俺が糾弾される流れだ。
 なんとかするしかない、か……。
「……そういうことは、俺だけに知らせるのは勿体無いな。ほら、放送室なり新聞部なりを占拠して、もっと大勢に知らしめてこいよ」
「…………っ」
 棗雲が静止した。
「……おおおっ……おおおおおおっ」
 ジョークで軽くジャブをいれたつもりが、思いっきりクリーンヒットしたらしい。
 棗雲は呻き声を上げながら崩れ落ちた。
「俺はやろうとした……やろうとしたんだ……!」
「マジか」
「だが、翼が嫌だと……もう口を利いてくれないと……」
 ちなみに。この男、以前同じことをやろうとして失敗した前科がある。たしか翼の身長が一六〇センチを超えたときだったか……。その時は、翼が泣きながら棗雲を鉄パイプでタコ殴りにしていた。
「う……うう……っ」
 教室の真ん中で、人目を憚らず涙するゴリラ。
 号泣ではなく、静かに声を殺して泣くところが非常に気持ち悪い。
 心からやめて欲しい。俺の友人である事を。
「……それで?」
「仲直りしたいから手伝ってくれ」
 出来うる限りの嫌そうな顔で聞く俺と、可愛子ぶって答えるゴリラ。
「無理」
 俺は即答した。



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