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おっぱ坂

 この日、宮藤が坂本と共に504の基地へと出向したため、食事の当番はリーネとバルクホルンが割り当てられていた。
 しかし料理をしている間、リーネはずっと落ち着かない。
 これは苦手なバルクホルンと二人っきりなせいもあるし、常に一緒に行動している宮藤がいないせいもあるのだが、今日に限ってはそれだけではなかった。
 というのも、隣に座って芋を剥くバルクホルンが、ちらちらと窺うようにこちらを見てくるのである。
 いったい何だというのだろう?
 普段は何かあればズバズバと言ってくるバルクホルンだけに、何かを言いあぐねてこちらを盗み見るというのは珍しい。というか、不気味である。
 リーネは、恐る恐るバルクホルンの方へと視線を動かした。すると、バルクホルンは慌てて顔を逸らし、手元の芋に視線を戻す。
 かれこれ10数分、こんな調子なのだ。
 この気まずい空気に、リーネは一生懸命耐えている。
 そうこうしているうちに、皮を剥く芋が無くなってしまった。
「あ、あのっ」
「……む。うむ」
「つ、次はソーセージを茹でましょうか」
「そ、そうだ、な……」
 そうして二人はテーブルを離れ、厨房に立った。
 リーネは正直、料理はあまり得意でない。
 というより、ブリタニア料理の評判があまりよくないのだ。お菓子作りはそこそこにこなせるとは言え、流石にそれを夕食にするのははばかられる。
 だから今日はバルクホルン主導でカールスラントの料理を、ということになったのだが……。
「あ、バ、バルクホルン大尉!それはお砂糖……!」
「な、何!?」
 便りのバルクホルンはお約束な間違いを犯し、
「きゃあ!水が!!」
「し、しまった!!」
 水道の蛇口を捩じ切って厨房を湖にし、
「だ、大丈夫ですか……?」
「痛ぅ……」
 挙句、滑って転んで強かに腰を打つ。
 日頃の完璧主義なゲルトルート・バルクホルン大尉とは程遠く、精彩を欠くどころの話ではない。
 リーネは恐る恐る手を差し伸べ、バルクホルンを助け起こした。
「……すまんな」
「い、いいえ……」
 暗さを増した顔で、バルクホルンは俯く。
 悩みがあるなら聞いてあげたい、が……。果たして自分に務まるだろうか?歴戦の大エースの、相談相手が。
 お互いに黙ったまま、気まずい沈黙が広がる。壊れた水道管から吹き出る、水の音だけが響いていた。
「その」
「……」
「修理呼んで、えっと、着替え、しにいきませんか……?」
「……そうだな」
 バルクホルンの答えは短かった。

 報告を済ませた二人は、風邪をひくからというミーナからの勧めもあり、風呂を使わせてもらうことにした。
 シャーリーが夕食の用意を代行してくれることになり、申し訳ないと思いつつもゆっくりと風呂につかることが出来る。
 ただし、やはりバルクホルンと2人で、である。非常に気まずい。
 身体を洗い、髪を洗い、そっと、浴槽に足を入れる。
 バルクホルンの手際の良さは入浴でも同じなようで、どうやったものか、リーネが髪を洗っている時、すでに洗い終えて浴槽につかっていた。
「あの、早いんですね、体洗うの……」
 5分ばかりの沈黙の後、耐えかねたリーネが呟くような、か細い声で話しかけた。
「……うむ」
 またしても、バルクホルンの答えは短い。
 続いて沈黙が訪れる……、その前に。リーネは声を張り上げていた。
「あ、あのっ!」
「な、なな、なんだ、突然大声を出したりして……」
 無意識のうちに立ち上がったリーネから、慌てて目をそらすバルクホルン。
「わ、私!その、何か、したんでしょう、か……」
 リーネはなけなしの勇気を振り絞ったわけだが、尻切れトンボもいいところ、最後は蚊の鳴くような声であった。
 しかし、無駄ではなかった。
 バルクホルンはつかの間、目を丸くした後、
「わかるか」
 消沈した声で呟いた。
「えと、その、訓練とかで……」
「いや、それじゃない。というか、お前はよくやっている、と、思う……」
「え、あ、はい……」
「それとは、その、まったく関係のない話でだな……。なんというか、まったくもって恥ずかしい話であって、その」
 なんとも歯切れが悪い。
 えっと。あの。その。まるで日頃のリーネのようにキョドキョドとしながら、バルクホルンは意味のわからない言葉を繰り返している。
「……ええい、こんなのは性に合わん!リーネ!」
「は、はい!!?」
 突然ざばっと音を立て、勢い良く立ち上がったバルクホルンが、がっしとリーネの肩をつかみ、
「胸を触らせてくれ!」
「はいっ!……ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!?」
「いや、待て待て!変な意味ではないぞ!勘違いするな!」
「じ、じゃあどういう意味なんですかぁ!」
 胸を両腕でガードし、後ずさろうとするリーネ。
「新人の気持ちを理解するためだ!頼む、協力してくれ!!」
「意味がわかりませんー!!!」
 顔を真赤にした二人が揉ませろ、どうしてですかぁ、と押し問答をしている。
 ここに誰もいないのが唯一の救いだ。目撃されていたら大騒ぎだったろう。
 ……いや、むしろいたほうがよかったのかもしれない。
 バルクホルンは宮藤とコミュニケーションを取るため、その嗜好を知りたいと言っているらしいのだが、一切その意図が伝わっていない。まぁ、その意図自体が色々とおかしいのは置いておくとして。
 とにかく誰か止めるなり、補足するなりする人間がいれば、もう少し違ったろうが、結果的に押しに弱いリーネが押し切られる形で胸を差し出すことになった。
「では、失礼する……」
 真っ赤な顔のバルクホルンが、そっと手を伸ばす。
 リーネは涙で潤んだ目をきゅっと結び、恥ずかしさに耐えながら、露出した胸の上で両手を結んでいた。
 バルクホルンの手が白い胸に触れ、ゆっくりと沈み込んでいく。
「ん……っ」
「ほう……」
 重さを確かめるように胸の下側を撫で、たぷたぷと揺らしてみたり、ボールのような乳房を鷲掴みにしてみたり。
 リーネは身体を震わせつつ、それに耐えていた。
「宮藤の気持ちも、わからないでは、ない……」
 ぼそぼそと呟くバルクホルン。手は止まらず、むにむにと胸を揉み続ける。
「そ、そのぉ……」
 どれくらいそうしていただろうか。リーネにとっては何時間にも感じられたろうし、バルクホルンには一瞬だっただろう。
 リーネは色々と、限界が来ている。
「あ、あの……、あのぉ……。そ、そろそろやめてくださぃ……」
 驚くほどに甘い声で、バルクホルンに許しを乞うた。
「……む。す、すまん」
 夢中になっていたバルクホルンが、慌てて手を離す。
 リーネは崩れ落ちるように、湯船へとへたりこんだ。
 しばし気まずい空気が二人の間に流れた後、
「その、少し、一人にしてください……」
 軽く冷静になったリーネはそう言い、バルクホルンはニ、三言もごもごと謝って、そそくさと浴場を出て行った。
 その後しばらく、二人はまともに顔を合わせることができなかったという……。

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テーマ : 二次創作
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