スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スクリーンの前

※微エロなので、嫌いな方は注意してください。


 哨戒に出るサーニャを見送り、エイラは夕食後の予定を考えていた。
 明日は非番だが、出かける予定もない。早く寝てしまうのは勿体なかった。日頃窮屈な生活を送っている人間にとっては、自由に使える時間は何物にも代え難い貴重なものだ。
「どうすっかなー」
 いっそペリーヌでも捕まえて、酒に付き合わせようか。ペリーヌは明日は早朝のシフトのはずだが、まあ、強引に押し切ればなんとかなるだろう。もし捕まえられるなら、ハルトマンでもいい。それでダメなら他に付き合ってくれそうなのは……。
 そんなことを考えていると、大きな荷物を抱え、よろよろと歩くシャーリーに遭遇した。
「よう、エイラ」
 すれ違いざま、エイラに気付いたシャーリーは、屈託の欠片もない笑顔を向けてくる。
「なんかすげーの持ってるな……。なんだよ、その荷物」
「ああ、コイツは映写機だよ。野暮用ついでにジャンク屋覗いたら、端っこに転がっててさ。面白そうだから買ってきたんだ」
「ジャンクって、壊れてるんだろ? なんでそんなもん……。備品のがあるじゃないか」
「いいのいいの。使いたいから買ったんじゃないし」
 要するに、いじりたかっただけということか。
「映写機いじるのは初めてだからなぁ……。楽しみだよ」
「面白いかぁ……?」
 エイラもストライカーの整備など、一通り機械はいじれるが、趣味にするほど楽しいと思ったことはない。そもそもが必要に迫られて習得した技能なのだ。スオムスでは物資も人員も不足しがちで、そのために整備できないと戦闘に出られないという事態が度々発生していた。置いていかれたくなければ、自分でやるしかない。
「っと、じゃあ、私は行くよ。明日が非番だから、今夜は一晩中いじり倒すんだ」
 シャーリーはいてもたってもいられないという様子である。強引に会話を打ち切ると、そそくさと歩き出した。
「ふーん。まあ、もしも直ったら、私にも見せてくれよ。じゃーな」
 やることがあるのは羨ましい。そんなことを考えつつ、エイラは何でもない社交辞令を投げかけて、シャーリーと別れた。

 時計の針は3時を回ろうとしている。
 結局誰も捕まえられなかったエイラは、一人部屋で読書をしていた。
「そろそろ寝るかな……」
 押し花のしおりを挟み、エイラは本を閉じる。
 しかし、口から出た言葉とは裏腹に、目まで閉じる気にはならないのだった。今日に限ってやたらと目が冴えており、眠くないのを通り越し、床につくなど思いも寄らないくらいである。
「……そういや、映写機。どうなったんだろ」
 ふと、大荷物を抱えたシャーリーの姿を思い出した。今夜は一晩中いじり倒すとか言っていた気がする。ということは、まだ起きているのではなかろうか。
「んー……。よしっ」
 エイラは立ち上がった。このままだらだらしていても、仕方がない。シャーリーの邪魔でもしながら、眠くなるまで時間を潰そう。そう考えた。
 真っ暗になった廊下を、月明かりだけを頼りに、手探りで進む。夜間の出撃にそれなりの経験があるだけに、目が闇に慣れるのは早かった。
「っと、ここだな」
 シャーリーの部屋の前で立ち止まり、扉に手をかけようとしたその時。
「あれ、エイラ?」
 突然背後から声をかけられ、心臓が口から飛び出るかと思った。目を見開いたエイラが振り返ると、首にタオルをかけた、下着姿のシャーリーが立っている。
「なんか用?」
「あ、やっ、え、ええと、映写機! 映写機どうなったのかなって」
 エイラがしどろもどろにならねばならない理由は一つもないが、唐突に背後から声をかけられた動揺は、まだ尾を引いていた。
「映写機? ああ、ちょうどさっき出来たトコ。試す前に、ちょっとシャワー浴びてきたんだけどね」
 言われて初めて、エイラはシャーリーからシャンプーのにおいがすることに気付いた。
「ま、いいや。折角きたんだし、見ていきなよ。ジャンク屋のおっちゃんがフィルムをおまけしてくれたからさ」
「え、あ、うん……。オジャマシマス……」
 部屋に通されたエイラは、スクリーンの前に置かれたソファーに腰を下ろした。座ったせいか、ようやく動揺が抜け、背後で映写機をセッティングするシャーリーに声をかける余裕も出てくる。試しに一つ、聞いてみることにした。
「フィルムって、なんのやつ? 映画?」
「さあ?」
 シャーリーの答えは実に素っ気ない。
「さあって……」
「いや、おっちゃんがその辺にあるの持ってっていいよっていうからさ、適当に貰ってきた」
「うえ。てことは、お堅いフィルムかもしれないじゃん」
「かもなー。ま、それだったら朝までぐっすり眠れるさ。ほら、始まるぞ」
 スクリーンにカウントダウンが移される。シャーリーがエイラの隣に腰を下ろした。
 3、2、1……。表示される数が減っていく。シャーリーの修理は完璧だったようだ。見づらいところはまったく無い。音声はないが、まあ、ご愛嬌だろう。
 真っ黒だった画面が切り替わり、一件の家が映し出された。屋根、二回の窓、玄関と、螺旋状にカメラが移動していく。玄関の扉がアップになり、そこでカメラは止まった。
 人影が現れる。二十歳くらいの、髪の長い美女だった。彼女はノックもせず、自然な動作で扉を開ける。すると、扉の向こうでは、十代半ばの可憐な少女が、笑顔を浮かべて待っていた。
「良かった、映画で」
 エイラが小さなつぶやきを漏らした。
 その間にも、映像は場面を進めていく。
 少女に手を引かれ、美女は二階に上がっていく。向かった先は、可愛らしい小物の散見される、小さな部屋だった。少女の部屋だろうか。そう思っていたエイラたちの目の前で、映像の奥の二人は、唐突に、深い深い濃厚なキスを始めたのである。
「え、ええ……!?」
 驚きのあまり、エイラとシャーリーは、目を点のようにしている。
 そうしているうちに、美女と少女は、キスしたまま、互いの服を脱がせにかかっている。
「ポ、ポルノだったみたいだな……」
 わずかにうわずった声で、シャーリーが呟いた。
「と、止めないのかよ……」
「だ、だって、フィルムこれしかないし……。ここでやめたらテストにならないし……」
 スクリーンでは、乳房を晒した二人がベッドに倒れ込み、ディープキスの応酬を行っていた。
 気まずい。エイラはそう思いつつも、スクリーンから目が離せない。不意をつかれたために混乱しているせいもある。だが、それ以上に、二人の女優が美しかったのだ。責め立てる美女の妖艶な笑みが、責められて身をよじる少女の頬を伝う切なげな涙が、エイラの視線を釘付けにした。
 このまま見続けても良い。そんな風に思え始めたその時、エイラの手に、シャーリーの手が重ねられた。驚いて振り向くと、シャーリーの顔がすぐ近くにあり、さらに驚かされることになった。
「な、なんだよ」
「いや、あのさあ、ええと……。なんだろうね?」
 答えになってない答えを返しながら、シャーリーはどんどん体を近づけてくる。
「ち、ちょっと」
 体格や筋力という点で、エイラはシャーリーにまったく及ばない。身長だけでも七センチ違うのだ。押されるままに身体は倒れていき、やがて天井を完全に仰ぐ形になった頃、エイラは押し倒されたということに気が付いた。
「な、なに……」
 エイラの声が震えた。
「お前、肌白いよな……」
 シャーリーの指先が、エイラの頬を撫で、びくりとエイラの身体が跳ねた。
「なあ、いい?」
 なにがいいのか、とは、エイラは聞かなかった。いいといえば、絶対に後悔することはわかっている。だが、許してしまったときどうなるか、その予想がエイラの理性を誘惑する。
「わ、私には、サーニャが」
 炯々と光るシャーリーの瞳から目をそらせず、エイラはそう答えるのが精一杯だ。
「私だって、好きな奴がいる」
 知ってる。だったら、こういうことはするべきじゃない。張り付いた喉を叱咤し、エイラはそう止めようとした。
「だから、いいだろ? 私たち、何でもないし、何かあってもどうにもならない」
 シャーリーはそう言うが早いか、エイラの唇を塞ぎ、反論を封じてしまった。
「ん、んんっ!」
 エイラは抵抗しようとして身をよじった。しかし、シャーリーがそれを力強く抑える。やがて、侵入してきた舌に口内をかき回され、エイラの理性は溶かされた。
 もうどうにでもなれ。その呟きが、この夜のエイラの最後の記憶だった。

 翌朝。
 エイラが目を覚ますと、そこは白いシーツの上だった。
 夢だろうか。確か、シャーリーに襲われたのは、ソファの上だったはず……。
 しかし、そんな淡い期待は隣で寝息を立てる、裸のシャーリーによって見事に打ち砕かれた。
「こ、このっ……!」
 腹立ちまぎれに、枕をシャーリーの頭に打ち付けた。
「わぷっ!? な、なんだ!?」
 寝ぼけた目をこすりながら飛び起きるシャーリー。巨大な乳房が、エイラの目の前で揺れた。
「こ、この、ケダモノ!」
 エイラは顔を赤くし、シーツで身体を覆い隠しながら、シャーリーを睨む。
「ケダモノって……、あー」
 シャーリーも昨夜のことを思い出したらしかった。
 どんな謝罪の言が出てこようと、絶対に許さない。エイラが恥ずかし紛れにそう怒っていると、シャーリーは顔を近づけ、
「またやろうな」
 熱い囁きを、エイラの耳元でしたものである。
「だ……」
「だ?」
「だ……っ!」
「?」
「誰がやるかー!!!!!!!!!!!!!!」
 当然、それがエイラの答えではあったが。

スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

萩原間九郎

Author:萩原間九郎
スオムス文庫やってます。

ご意見感想その他何かありましたら、以下のアドレスか、メールフォームをご利用ください。

hanzou.oohara鼎gmail.com
(鼎を@に変えてください)

管理画面

来客数
Twitter
スオムス文庫目次

クリックするとSSのリストが開きます。

※印のついているものはR-18です。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

リンクに間違っている箇所がありましたら、お手数ですがお知らせお願いします。

【スオムス文庫@501】

【スオムス文庫@502】

【スオムス文庫@504】

【スオムス文庫@いらんこ中隊】

【スオムス文庫@スオムス】

【スオムス文庫@その他】

【スオムスいらん子中隊涙する】

【Strike Witches 1947 - Cold Winter -】

【学パロ】

【各種サンプル(ストライクウィッチーズ)】

【死にたがりの赤ずきんと気の長い狼の迂遠な関係】

【オリジナル】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
カテゴリ
最新記事
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ
最新コメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。