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ノロイ、シバリ、タタル


 力とは呪いだ。
 力を失くして初めて、坂本はそのことに気付くことが出来た。
 例えば、武器を持つ。その分の力を得る。人を守ることもあるだろう。だが、使い方次第では、人を傷つけ、命を奪う。
 魔力も同じだろう。人の力を、遥かに超えている。
 坂本にとっては、魔眼も。
 力は、誤った使い方をしなければ、それで良いというものではない。
 正しく使わんとすればするほどに、それは持ち主を縛った。
 守らねばならない。
 その、悲壮なまでに優しい気持ちが、過去どれだけの魔女を縛り、現在どれだけの魔女を悩ませ、そして未来、どれだけの魔女を殺すのだろう。
 皆、呪いと気づかぬままに責任を負い、危険に向かってゆく。
 悲しいことだった。
 かつて自分がそうであった時、そのことを言われれば、こう反論しただろう。
 なら、誰が代わりに戦ってくれる?
 実情は、まさにその通りだった。だから今、それについてどうこう言おうとは思わない。
 ただ哀しい。
 見上げた空は、こんなにも美しいのに。
 誰しも、空を見上げ、鳥のように飛べたらと、そんなあこがれを抱いていた頃は、美しさを知っていたに違いないのだ。
 空で戦うようになる。すると、戦場として、そして死に場所として、感じられるようになる。闘いながらも、その清らかな美しさに思いを馳せられる人間は稀だった。
 皮肉な話だ。
 その美しさは、地面にいた頃と、地面に下ろされた頃しかわからない。一番近くにいた頃は、宝石のような青でさえ、呪いのダイヤの輝きだった。
 力は、やはり呪いなのだ。
 魔女は皆、魔力に呪われている。
 もう一度、空に戻りたい。
 今度こそ魔力のすべてを失い、魔眼も消えた、今だからこそ戻りたい。
 自分本位だろうか。
 それでも良かった。
 坂本にとって、空は戦場だった。死に場所だった。しかし、生きる場所でもあった。
 空は第二の故郷だ。
 故郷には、友だちがいるものだろう。
 空には、やはり友がいた。
 辛い。友と思える者達に、置き去りにされるのは。
 まったく学習していないと、自嘲的な思いに襲われることがある。
 それでも。
 自分にできることはなんだ?
 手の届かぬ星をつかむのは、もう諦めた。
 雲なら。雲になら、手が届くだろう。
 それに、友を守る力がまだ自分にあると、信じていたい。
 もう一度、空で友の手を。
 魔法の目がなくとも、鷹の目がある。
 坂本はそう呟いて、再び空を見上げた。
 傍らには、観測機。飛行脚以上に無骨で、融通の効かない新しい翼。
 見せてやろう。
 私はまだ飛べる。
 まだ、お前たちと、戦える。
 宮藤。
 戦場で待つ愛弟子の名を叫び、坂本はまた、空へと飛び立った。


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テーマ : 二次創作:小説
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