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勝負しよう


「ねえ、トゥルーデ。勝負しよっか」
 昼下がり、机に肘をつき、ぼうっと窓の外を眺めていたエーリカは、何かを思い出したかのように、突然そのようなことを言い出した。
「何の勝負だ」
 向かいに座るバルクホルンは、本から顔を上げることなく、受け流すように答える。
「なんでもいい。勝負したい」
「だったら部屋の片付けで」
「それはやだ」
「掃除」
「やだ」
「整理」
「やだ」
「整頓」
「やだ」
「なら、やらん」
「ケチ」
 バルクホルンは少しだけ、本から視線を上げた。エーリカは窓の外に顔を向けたままだった。
「はぁ」
 ため息をつき、本を閉じる。そのまま脇に押しやると、バルクホルンはエーリカの物憂げな横顔を、じっと見つめた。
「……なに?」
 ちらり、と視線だけを向けるエーリカ。目が合うと、ちょっと驚いたように目を泳がせ、結局、また窓の外に視線を戻してしまった。
「それはこっちのセリフだ、ハルトマン。どうしたんだ、一体」
「んー……」
「マルセイユか」
「まあ、そう、かも……」
 一時的に出向してきたマルセイユが、アフリカへ帰ってから早三日。
 勝負勝負と何かにつけてエーリカに突っかかり、それは良くも悪くも賑やかであっただけに、寂しさを感じているのかもしれない。エーリカ自身、はっきりとわかってはいないが。
 ただ、その想像は大方間違っていないと、バルクホルンは思っていた。マイペースなようで、その実寂しがりのエーリカだ。マルセイユについて、口ではしつこいだのなんだのと言いつつも、いざそれが突然なくなってしまえば、寂しさを感じても無理はない。
 子どものようで、大人のようで、やはり子どもらしい。そのギャップは周りの人間だけでなく、時にはエーリカ自身も困惑させる。
 不器用なことだ。バルクホルン自身、不器用である自覚はあるが、エーリカは自覚できていないようだ。
 バルクホルンは苦笑した。
「なあ、ハルトマン。勝負して、どうするつもりだったんだ?」
「別に、なんとなく。……思いついただけ。気が紛れるかなって、思って」
「なら、勝負じゃなくてもいいのか」
「うん。……ただ、なんかハンナの顔が浮かんだから、勝負って言った」
「仕方のないやつだな」
「ほっといて」
 放っておけば、それはそれで不満な癖に。そこは口に出さないでおいてやる。
 バルクホルンは立ち上がった。
「行くぞ、ハルトマン」
「え。どこに。……勝負はいらないよ」
「馬鹿を言え。ミーナのところにだ。休暇をもらって
、街にでも行こう」
「ふえ」
「行かないのか?」
「い、行くっ!」
 言えば図に乗るというのは、照れ隠し。
 欠点の多いハルトマンを、バルクホルンは嫌いではなかった。

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テーマ : 二次創作:小説
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