スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ペットゴッコ~一回表

 
 にゃあ。
 サーニャは鳴いた。
 エイラは熟睡している。
 にゃあ、にゃあ。
 サーニャはまた鳴いて、エイラの懐に、頭を潜り込ませた。
「う、うん」
 頭の上から、微かな呻きは聞こえたけれども、サーニャは構わず、エイラにしがみついた。
 エイラは起きなかった。
 にゃあ。
 もう一度鳴いて、顔を押し付ける。
 そこは胸だった。
 柔らかい感触。エイラの身体は、サーニャよりずっと女性的だ。多少、羨ましくはあるが、抱きつくと気持ちがいいので、コンプレックスはない。
 それよりも、起きているときは抱きつかせてくれないので、その機会を探す方が大変だった。
 エイラがどういう視線で自分を見ているか、サーニャは気付いていた。気付いているつもりだった。
 嬉しくはあるけれど、考え物である。
 肉体的な接触を、徹底的に避けられるからだ。人肌が恋しい時、これは辛い。いや、それ以上に、サーニャはエイラに触れたかった。触れて欲しかった。
 やっと手をつないでくれるようになったのは、ごく最近のこと。それも照れながら。この分では、抱きしめてくれるには、まだ時間がかかりそうだ。
 考え物だった。
 エイラの気持ちは嬉しいが、同じくらい不満だった。そういう関係でなくてもいいとさえ、思えるくらいに。
 恋人でなくてもいい。
 ペットでよかった。
 それなら、触ってくれるだろうか。
 にゃあ。
 鳴いて、顔をすりよせる。
 柔らかくて暖かくて甘いにおいがした。
 エイラが寝ている間だけ、サーニャは主人に甘える猫のように振る舞った。
 においを嗅いで、においをつける。
 エイラの胸は、サーニャの縄張りだ。
 奪おうとされれば、本当に噛みつくつもりでいた。この縄張りだけは、卑怯な手でもなんでも使って、絶対に渡してはやらないのだ。
 にゃ。
 少し、顔を上に向ける。
 エイラが静かに寝息を立てていた。
 本当は、顔を舐めたりしてみたいのだけど。
 下手をすればエイラの心臓を止めかねなくて、なかなか実行には移せないでいた。
 勿論、いつか必ずやるつもりではいる。
 ペットなら、猫なら、普通のことなのだ。
 本来何を遠慮することがあるだろう。
 ぎゅう、とエイラにしがみつく。
 苦しいかもしれない。
 だけど、よかった。
 ペットなら、これくらいのやんちゃは、普通に違いないから。
 わがままも、甘えることも、サーニャは苦手だ。自分をペットだと思い込んで、ようやくできる。
 エイラが寝ている間だけ、ペットになって。
 眠りこけるご主人様へ、わがままに、甘え続けた。


スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

萩原間九郎

Author:萩原間九郎
スオムス文庫やってます。

ご意見感想その他何かありましたら、以下のアドレスか、メールフォームをご利用ください。

hanzou.oohara鼎gmail.com
(鼎を@に変えてください)

管理画面

来客数
Twitter
スオムス文庫目次

クリックするとSSのリストが開きます。

※印のついているものはR-18です。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

リンクに間違っている箇所がありましたら、お手数ですがお知らせお願いします。

【スオムス文庫@501】

【スオムス文庫@502】

【スオムス文庫@504】

【スオムス文庫@いらんこ中隊】

【スオムス文庫@スオムス】

【スオムス文庫@その他】

【スオムスいらん子中隊涙する】

【Strike Witches 1947 - Cold Winter -】

【学パロ】

【各種サンプル(ストライクウィッチーズ)】

【死にたがりの赤ずきんと気の長い狼の迂遠な関係】

【オリジナル】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
カテゴリ
最新記事
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ
最新コメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。