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スオムス文庫 サニャイラ-2-1『キャッチ・ア・コールド』

 夜間哨戒の時間になっても、サーニャはハンガーに現れなかった。
 ストライカーもフリーガーハマーも、ちゃんとそこにあり、
 時間より早く出て行ったというわけではなさそうだ。
 サーニャが寝坊?有り得ない。
 そもそも、普段だらしないハルトマンやルッキーニだって、軍務はしっかりとこなす。
 ましてや、あのサーニャがサボるわけがない。
 となれば、何かがあったのか。
 居ても立ってもいられず、私は駆け出した。
「サーニャ!」
 部屋へ駆け込む。
 サーニャはベッドに横たわっていたが、返事はなかった。
「サーニャ……?」
「ん……」
 やはり、様子がおかしい。
 抱き起こして、額に手をやる。
「うわっ……!?サーニャ、熱があるじゃないか!」
「エイ、ラ……?」
 焦点の定まらない目でこちらを見つめるサーニャ。
「うっ」
 大丈夫か、と言おうとして、私は言葉をつまらせた。
 サーニャの白い頬が赤く火照っている。
 さらに、気だるげに細められた瞳は熱で潤み、口からは時折苦しげに熱い息が洩れている。
 身体はぐったりとこちらに体重を預け、いつにもまして儚げだ。
 ……一瞬もにょもにょした後のサーニャってこんな感じなのかな、とか、絶対に考えてなどいない。
 いないんだ!
 とにかく、サーニャの熱はかなり高そうで、私はもう動転してしまった。
 ミヤフジ達の部屋に駆け込むや否や、訓練で疲れてぐったりしているミヤフジの腕を掴み、
 「ちょっと来い!」と強引に引っ張っていく。
 後ろでリーネが「よしかちゃーん!」と悲しげに叫んだ気がするが、気にもとめなかった。
「うーん、多分風邪ですね」
「サーニャが風邪……」
 私のせいだ……。
 もっとちゃんと気をつけてあげていれば……。
 しかも、こんなに熱が出るまで気付けないなんて。
「ミヤフジ、お前の治癒魔法でなんとかできないのかよ!」
「病気はちょっと……。
 それに、多分環境が変わって疲れも溜まってたんだと思います。
 今はお薬を飲んで、ゆっくり休んだほうが……」
「うう……サーニャー……」
「エイラ……私は大丈夫だから……。
 芳佳ちゃんもごめんね……」
「ううん、気にしないで。
 ゆっくり治してね。
 後でお薬貰ってきてあげるから」
「ありがとう……」
「サ、サーニャ……何か欲しいものはないか?
 何でもいいぞ!あ、何か食べるものとか……」
「いらない……。
 少しだけ、こうしてて……」
 そう言ってサーニャは、弱々しく私の手を握った。
 いつもよりもずっと高い体温が、私の不安を駆り立てる。
 思わず力が入ってしまった。
「あ……ごめん、サーニャ。
 ……痛かった?」
「痛くないよ……。
 だからそのまま握ってて……」
「わかった。
 私がついてる。早く良くなろうな、サーニャ」
「うん……。
 おやすみ、エイラ……」
「おやすみ、サーニャ……」
 数日後、すっかり良くなったサーニャに、私が看病してもらったのは、また別のお話。


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