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スオムス文庫 芳イラ-1-1『午睡日和』

 ある非番の日の午後、腹を空かせた私は、ミヤフジに何か作らせようと思い、部屋を訪ねた。
「おーい、ミヤフジー?いるかー……っと寝てたのか……」
「ん、んんー……」
 そこにいたのはベッドに横になったミヤフジ。
 わずかに微笑んだ、幸せそうな顔で眠っている。
 私は静かに扉を閉めた。
「こいつも疲れてんのかな……」
 小声で呟く。
 思えば、いつもミヤフジは小さな身体をいっぱいに使って、元気に動き回っている。
 毎日全力で生きていれば、それは疲れるか。
「ったくもー……風邪引くぞ……」
 足元に丸まっているタオルケットをかけてやった。
私には妹がいないが、いたらこんな感じなのだろうか。
 少しだけ、姉やバルクホルンの気持ちがわかる気がした。
しかし、やることがない。
 このまま部屋を出るのもなんとなく収まりが悪い。
 かと言って居座ってもやることがない。
 どうしたものかと、ミヤフジの頭を撫でながら考えていると、
「あっ……エイラさん……きれいです……」
 突然私の名前を呼ぶものだから、びっくりした。
「なんだ、寝言か……」
起きたわけではなさそうだ。
 私の夢を見ているのか、と考えて、急に顔が熱くなった。
い、いやいやいやいや!
 別に嬉しくなんてない!
 サーニャなら嬉しかった!ミヤフジじゃなー!
 うん、そうだ、ミヤフジが私を夢に見てくれたところで、全然嬉しくない!
 だから、これはちょっと、その、なんだ、この部屋の気温が高いだけで、
 それ以上でもそれ以下でもないんだ!
 要するに私はいつもどおりの私で、
 ミヤフジもこうやってれば可愛いんだけどなーなんて思ったりなんかはしていないわけだ!
 ……でも、ちょっと腹がたったので、寝顔に向かって、
「……この女ったらし」
 と言ってやった。
「調子狂うなーもー……」
ミヤフジの横に腰をおろした。
途端に静かになる。
部屋の中には秒針の動く音と鳥の声、そして、私たち二人の呼吸する音しかない。
 耳鳴の中、静かに時間が流れていく中で、ミヤフジは幸せそうに寝息を立てていた。
「…………っ」
 なんだか急に、自分が恥ずかしいことをしているような気分になった。
 たまらず立ち上がる。
「うおっと……」
私の軍服の裾が何かに引っかかった。
 見ると、ミヤフジが握っていて、外そうとしても外れない。
「もー……なんだよこいつー……」
 嫌な気分ではない。
 子どものようで微笑ましくすらある。
「ミヤフジー……?離せー……?」
 頭を撫でながら優しく言ってやる。
ミヤフジはさらに握る手に力を込め、軍服に皺を作った。
「しょうがねーなーもー……」
 手間のかかる妹だ、なんて冗談を頭に浮かべつつ、私はまた、ミヤフジの横に腰を降ろした。
どれくらい時間が経ったろう。時計に眼をやると、30分も立っていなかった。
ゆっくりだな……。
 お腹へったな……。
 リーネが帰ってきたら気不味いな……。
 サーニャはちゃんとタオルケットかぶって寝てるかな……。
 色んなことが頭をめぐる。
「エイラさん……」
「なんだー」
 寝言に返事もしてやる。
こういうのも、たまになら悪くないかもしれない。
「エイラさん……おっきい……」
「…………何が?」
 にへら、と笑うミヤフジ。なんかやらしいぞ、その笑い方……。
「ふふ……意外とウブなんですね……。可愛い……」
「………………」
「まだまだ夜は長いんですよ……今日という今日は泣いても許してあげませんから……」
「…………ッ!おいこらミヤフジ!どんな夢見てんだ!おい!起きろー!!!!」
 ほんわかした気持ちになっていたのに、全部ブチ壊しになった。
怒りに任せて叩き起し、混乱したミヤフジに、私は軽食の用意を命じたのだった。



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