スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スオムス文庫 エイペリ-1-1『お礼』

「おーいツンツンメガネー。いるかー?」
「その呼び方はやめて下さいと何度言ったらわかりますの!?」
 ペリーヌの部屋の前に立って声をかけると、ペリーヌはすぐに部屋を飛び出してきた。
「おーいたいた」
「はぁ……。それで、何か御用ですの、エイラさん?」
「ん」
 私は一冊の絵本を差し出した。
「……これは?」
「サウナ妖精の絵本」
「サウナ……?」
 怪訝な顔をするペリーヌ。
 唐突に、しかもスオムス語で書かれた絵本を差し出されたのだから、無理もない。
「それで、この絵本がどうかしまして?」
「……お礼」
 そっぽを向いてぽつりと呟く。
 ペリーヌは聞き取れなかったらしく、「はい?」と聞き返してきた。
「だから、お礼だよ!この間の、特訓のお礼!」
「いつぞやの、シールドを張る……?」
「そう」
 ペリーヌは毒気を抜かれたような表情をして、
「お礼なら、わたくしよりも宮藤さんにするべきではなくて?
 わたくしは結局なんのお役にもたてませんでしたし」
 まぁ、確かに。
 ペリーヌの特訓は何の意味もなかった。
 染み付いた癖というものは、なんとも厄介なものである。
 私はなんと言うべきか、迷ってしまった。
どうしてもペリーヌにお礼がしたいというわけでもなく、気まぐれに思いついただけだったのだ。
「ねぇ、エイラさん。
 どういう風の吹き回しですの?」
「え?」
「あなたがわたくしのことをあまり良く思っていないのは知っています。
 サーニャさんに心ないことを言ったりしましたから、無理もないことです。
 なのに、頼みごとをしたり、ましてやそれにお礼?
 あなたらしくないのではありませんこと?」
 言い切ったペリーヌは、後悔と呆れと、少しだけ寂しさの混ざったような顔をしていた。
「お前……丸くなったなー」
 正直な感想をもらす。
だが、これはペリーヌの感情を逆なでする反応だったらしい。
 ペリーヌ顔を一気に赤くさせ、がなりたててきた。
「エイラさん!!」
「あ、いや……ブリタニアの時はさ、お前、口が裂けてもそんなこと言わなかっただろ」
「それが何か!?
 今のわたくしがらしくないとでも仰りたいのですか!?」
「そうじゃねーって」
「じゃあなんだと言うのです!!」
「もーめんどくせーなー……。
 とりあえず、この絵本開いてみてくれないか?」
「はぁ?」
「いいから」
 ペリーヌは荒っぽく絵本を私からもぎ取ると、バラバラとページをめくり始めた。
「これ……ガリア語?」
 絵本は、スオムス語の上に小さく、手書きでガリア語の訳が書かれていた。
「お前さ、今大変なガリアのために頑張ってるだろ?
 私は子供のとき、辛い時とかさ、この絵本を読んだんだ。
 そうすると、不思議と力が湧いてきて頑張ろうって気持ちになれた。
 だから、この絵本をお前にやる。
 お前ならきっと、上手い使い方をしてくれると思うからさ」
 ペリーヌはポカンとした顔で私を見つめていた。
「この、お世辞にも上手とは言えないガリア語は、あなたが?」
「んー……嘘ついても仕方ないから言うけど、ハルトマンに教わった」
 頭をかきながら言う。
本当は自分一人で仕上げるつもりだったのだが、
 スオムスから届いた絵本と、ガリア語の辞書とを並べて格闘していた所を、
 (本人曰く)偶然通りかかったハルトマンに発見されてしまったのだ。
 ひとしきりからかわれた後、何故か手伝ってくれることになり、
 1週間かけてこれを仕上げたというわけだ。
「はぁ……」
「使い方はお前に任せるよ。
 私はただこいつをお前にあげたかっただけだからな」
「でしたら」
「ん?」
「でしたら、今度わたくしがガリアに行った時、
 ”たまたま”忘れてきてしまっても、あなたは怒らないと言うのですね?」
「あたりまえだろ。
 好きに使えって言ったのは私だかんな」
「そうですか……。
 では、これはありがたく頂戴致します」
 そういってペリーヌは絵本を大事そうに抱えて、私に背を向けた。
 そして部屋の中へ消えていく。
最後にぼそっと、何か呟いた気がしたけど、扉が閉まる音にかき消されて聞き取ることは出来なかった。



スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

萩原間九郎

Author:萩原間九郎
スオムス文庫やってます。

ご意見感想その他何かありましたら、以下のアドレスか、メールフォームをご利用ください。

hanzou.oohara鼎gmail.com
(鼎を@に変えてください)

管理画面

来客数
Twitter
スオムス文庫目次

クリックするとSSのリストが開きます。

※印のついているものはR-18です。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

リンクに間違っている箇所がありましたら、お手数ですがお知らせお願いします。

【スオムス文庫@501】

【スオムス文庫@502】

【スオムス文庫@504】

【スオムス文庫@いらんこ中隊】

【スオムス文庫@スオムス】

【スオムス文庫@その他】

【スオムスいらん子中隊涙する】

【Strike Witches 1947 - Cold Winter -】

【学パロ】

【各種サンプル(ストライクウィッチーズ)】

【死にたがりの赤ずきんと気の長い狼の迂遠な関係】

【オリジナル】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
カテゴリ
最新記事
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ
最新コメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。