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スオムス文庫 エイーナ-1-1『湯けむり情話』

「なっかなか思うようにはいかねーなー」
 私は手に持っていた本をベッドに投げ捨て、少し休憩することにした。
階級や肩書きには全く興味はないが、サーニャにとって頼れる人間でありたい。
 その一心で、ブリタニアでの501解散後はこっそり、サーニャに見えないところで勉強に励んでいるのだ。
その習慣は今でも続いているものの、スオムスにいた頃は友人や先輩が色々教えてくれたが、
 こちらでは独学でやらざるを得ない。
 自然と効率は落ち、順調に進んでいるとは言い難かった。
「はぁ……。
 風呂にでも入って気分かえっかー……」
 こういう時は無理に机に向かうよりも、休んだ方がいい。
 別に試験を控えているわけでもないのだ。
早速着替えをまとめ、鼻歌交じりに大浴場へと向かった。
 大浴場は最近完成したばかりの新品だ。
 これがアドリア海を一望できる作りになっていて、中々侮れない。
 湯船につかり、星空を眺めながらサーニャのこと、故郷のこと、友人のことと思いを馳せるのは、
 実に良いものだ。
「ん?」
 暖簾をくぐって脱衣所に入り、脱いだ服を籠に入れようとする。
 が、すでに誰かの軍服が入っていた。
「これ、ミーナ隊長の……。
 隊長も入ってるのか」
 この時間になると、皆入浴を済ませていることが多く、大抵は貸切状態でゆっくりできる。
 ミヤフジ達と騒ぎながら入るのも嫌いではないが、煮詰まったときはやはり、一人が良い。
「……ま、たまには隊長と入るのもいっかな」
 胸は大きく腰は締まり、安産型の尻がなかなかに扇情的なミーナだ。
 ちんちくりんなミヤフジとは違って、実に良い眼の保養になる。
ごっつぁんです。
石段を上り、洗い場で身体を流した。
湯けむりでよく見えないが、白い靄の中に、ミーナの髪が、赤いシルエットになって揺れている。
「ぐふふ……」
右足、左足と湯船に着け、ミーナの方へ向かう。
「シツレイシマース」
 わざと対面する位置に腰を落ち着けた。
「…………」
「あれ?」
いつもなら、あらエイラさんこんばんは、くらいは言ってくれそうなミーナだが、反応がない。
見ると、白い首筋は赤く火照り、日頃強い意志を湛えている目は、力なく閉じられていた。
「これって……。隊長!?おい、隊長!大丈夫か!?」
 反応がない。
どうやらのぼせて意識を失っているらしい。
私は慌てて隊長を湯船から引き上げ(この時体を見た。良かった……)、
 洗い場にタオルを敷き、そこにゆっくりと寝かせた。
「う……おっきいな……」
 どうしてもその裸、特に胸に目が行く。
 以前大きさを測ろうとして、酷い目にあったこともある。
 揉むなら、今……。
「い、いや、待つんだ私……。
 流石に今やるのは最低すぎる……」
 これ以上余計な気を起こさないよう、バスタオルをかけて身体を隠し、
 冷水に浸したタオルで顔を拭いてやった。
「あとは……このタオルを額にのせて……」
 出来た。
 なにか扇ぐものがあればよかったのだが、残念ながらそれは見つからない。
 横に座ってミーナを見守ることしか出来なかった。
程なくして、ミーナは目を覚ました。
「あ、起きた。隊長、大丈夫かー?」
「あれ、エイラさん……私……」
「湯船で気を失ってたんだよ。
 私が来なかったら今頃、上手に茹で上がってただろうなー」
「そう……ごめんなさい」
 力なく言うミーナ。
 やはり、まだ起き上がるのは無理らしい。
「あ、こら、隊長まだ無理すんなー。ほら、タオル変えてくるから、もう少しそのまま寝てろって」
 ぬるくなったタオルを水に浸し、再びミーナの額にのせてやる。
「冷たい……」
 ミーナは気持よさそうに目を細めた。
「……」
「……」
 話しかけるのも気が引け、私は黙って座っていた。
「エイラさん」
「うぇ!?」
「ふふ……そんなにびっくりしないで」
 不覚……。
 ボーっとしてたせいで、妙な返事になってしまった。
 ……別に、ミーナの身体に見とれていたわけではない。
「ごめんなさい、折角の時間を邪魔してしまったでしょう?
 私はいいから、ゆっくりしてらっしゃい」
 そういって身を起こそうとするミーナ。
 だが身体に力が入らず、再び横になり、まだ無理みたいね、なんてか細く微笑んだ。
まったく、ミーナは……。
「別に、好きでやってるから気にすんなよな……」
「でも……」
「こういう時ぐらい、隊長じゃなくてもいいんだぞ。
 隊長はいつも私たちを守ってくれてる。
 でも、私たちだって隊長を、いや、ミーナを守りたいって思ってんだかんな」
 上官に言うことではない、とも思ったが、
 ミーナが相手だと姉と話しているようで、ついこういう喋り方になってしまう。
ミーナは答えなかった。
 気分を害してしまったのだろうか。
 もう少し、言い方を考えるべきだったかもしれない。
「あ、たいちょ……」
「そうね。
 じゃあ、今はエイラさんに甘えるとするわ」
「え?」
 ミーナに目をやると、悪戯っぽく微笑んでいる。
 見慣れた隊長のミーナとは違う、少女のミーナがいた。
「あら、どうしたの?顔が赤いわ」
「な、なんでもねーよ!」
「そう?じゃあ、タオルを変えてくれるかしら。それと……」
「それと……?」
「身体を拭くのを手伝って貰いましょうか。
 いいわよね、エイラさん?」
 そこからは終始顔を赤くしていたように思う。
さっき可愛いなんて思ったのは気の迷いだったのだ。
 やっぱりミーナは、私より何枚も上手だった。



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