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スオムス文庫 サニャイラ-3-2『Small World 2』

「うわ、これがエイラさんですか!?かわいいー!」
 朝食の時間。
 サーニャの膝に腰掛ける私を見て、ミヤフジが黄色い声を上げた。
他のメンバーも、一様に驚いた顔をしている。
 ミーナ隊長が説明しても、半信半疑のようだった。
 無理もない。
 私自身、信じられないのだから。
小さくなった私に目を輝かせ、頭を撫でようと手を伸ばすミヤフジ。
 私は短くなった腕で、必死にそれを払いのけていた。
「エイラさんのケチ!
 ちょっとくらい撫でさせてくれてもいいじゃないですか!」
「なんで私がそんな屈辱をうけなきゃなんないんだ!?」
「ひ、ひどい!」
 今の機嫌は限りなく垂直に近い斜め。
 実際のところ、食堂には来たくなかったのだ。
 こうやっていじくり倒されるのは分かりきっていたのだから。
それでも、(渋々ながらも)顔を出しているのは、
 隊長が隠しても仕方がないと言い、サーニャがそれに賛成したからだ。
「エイラ、ちょっとくらい撫でさせてあげたら……」
「う……。で、でも……」
「エイラ……」
「わかったよ……。
 ミヤフジ、ちょっとだけだかんな……」
「やったぁ!」
 サーニャから私を受け取るや、抱きしめんばかりの勢いで撫で回すミヤフジ。
 犬か猫にでもなった気分だ。
 でも、ちょっとだけミヤフジからはいい匂いがした。
 甘い女の子の匂いが。
「でも、ずっとこのままなんですか……?」
 少し離れたところから見ているリーネが心配そうに聞き、
「もうネウロイはコアも残っていない。
 体内に破片が散らばった様子もないし、恐らくは時間が経てば戻るだろう。
 まぁ、それが明日のことか、来年のことかはわからんが」
 少佐が答えた。
 なんとも頼りない話だが、待つしかないらしい。
軍病院に行くかとも聞かれたが、小さくなった以外に不都合はなく、それは拒否した。
 モルモットにされるのは御免だし、サーニャと引き離されるのはもっと御免だ。
「もーミヤフジ!そろそろ離せよな!」
 べしっとミヤフジの手をはたく。
「はーい……」
「まったく……メシの当番なんだからそっちやれよもー……」
名残惜しそうに手を離すミヤフジから、私は再びサーニャの膝の上へ戻った。
 サーニャは手を回すようにして私を抱いてくれる。
 身体が縮んでからというもの、サーニャは私から離れようとしなかった。
 特に、食堂に入ってからは。
……おそらく、野生のバルクホルン避けの為でもあるのだろう。
私はこっそり首を回し、入口付近に立つバルクホルン大尉に目をやった。
当初の予想に反して大人しい大尉は、肩から力を抜いた自然体で、ハルトマンと並んでいる。
 だが、その様子がいつも通りかというと決してそんな事はなく、
 超然とした、遠くを見ているかのような目で私を見つめ、顔は微かな微笑を浮かべた彫像のよう。
私がサーニャに手を引かれ、食堂に入った時からずっとこうで、非常に不気味だ。
やがて大尉は、その彫像のような微笑のまま、
 何かに納得したかのように頷くと、静かに食堂から出て行った。
「なんだあれ……こええ……」
「どうかしたのエイラ……」
「な、なんでもない!なんでもないぞ!
 それよりミヤフジ!メシまだか!?」
「はーい!もうすぐ出来ます!」
 ややあって、湯気の立ちのぼる扶桑食がテーブルに並べられた。
私はサーニャの膝から降りて、自分の席についた。
 そのまま椅子に座るとテーブルに届かないので、クッションを重ねてその上に座る。
 バランスは悪いがストライカーを履いている時程じゃないし、
 子どもの頃からバランス感覚に関しては結構なモノを持っていたのだ。
そうこうしているうちにバルクホルン大尉を除く全員が席に着き、
 声をあわせていただきます、といった。
 それがスタートの合図になって、腹が空いて仕方がない私は、がっつくように食べ始めた。
「エイラ……」
「あむっ……んむ?」
「お行儀悪い……」
 サーニャに言われて箸を止め、自分の周りを見回すと、
 ご飯粒や焼き魚の身がぼろぼろと散らばっていた。
今までは急いで食べてもこんな事はなかった。
 どうも、手の発達具合も子どもに戻っているらしい。
 そういえば、夕べも大したことないのに大泣きしてしまった。
 涙腺も弱くなっているのか。
おかしいなぁ、と呟きつつ、手をぐーぱーさせていると、サーニャが私を抱き上げ、膝に乗せた。
「サーニャ?」
「はい、エイラ……あーんして……」
 そう言いつつ、箸を私の口へ近づける。
「あ、あの、サーニャ……!?」
「あーん……」
「そ、それは……」
「あーん……」
「うう……あーん」
 根負けしてしまい、口を開ける私。
結局、全部サーニャに食べさせてもらうことになった。
 それを見るみんなの目が、何か微笑ましいものを見るようで、
 私はそれに気づき、顔を赤くしたのだった。



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