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スオムス文庫 芳イラ-2-1『もやもや』

「エイラさん、いますかー?」
 部屋でごろごろしつつサーニャと他愛のない話をしていると、突然ミヤフジがやってきた。
「あれっサーニャちゃん、こんな時間に起きてるなんて珍しいね」
「昨日はお休みだったから……。
 早く目が覚めちゃって……」
「そっか!じゃあ今時間ある?」
 ねーよ。
 折角サーニャと二人きりなんだ。
 邪魔すんなよな。
 そう言おうとしたが、サーニャは「うん、大丈夫」と答えてしまった。
「今リーネちゃんとお菓子作ってたの!一緒に食堂で食べようよ!」
「うん……」
 うれしそうなサーニャ。
 なんというか、複雑だ……。
「エイラさんも来てくれますよね?」
「えー……」
「来て、くれないんですか……?」
 ミヤフジは悲しげに眉を顰めた。
「今そんなにお腹空いてないしなー……」
「エイラ……そんなこと言わないで……。
 折角作ってくれたんだから、行きましょう?」
「うー……サーニャがそういうなら……」
「良かった!じゃあ、準備してますから!
 来てくださいね!絶対ですよ!」
 ミヤフジは私が言い終わるが早いか、ぱぁっと顔を輝かせ、元気に部屋を出て行った。
「じゃ、ぼちぼち行くかー……」
「うん……」
 そうして私も、普段より少し早く歩くサーニャに引っ張られるようにして、
 のそのそと、部屋を出たのだった。
「はい!クッキー作ったんです!」
 食堂に入るや、皿に山盛りになったクッキーをさし出してくるミヤフジ。
焼きたてらしく、クッキーからは湯気と一緒に、甘くやわらかなにおいが立ち上っている。
「へー。美味そうだな」
「上手に出来たと思うんです!はい、サーニャちゃんも食べて!」
「美味しい……」
「本当!?よかったー!」
 ミヤフジははしゃぎ、サーニャははにかむ。
 やっぱりちょっとだけ、面白くなかった。
「あ、あの……お口に合いませんでしたか……?」
 そんな気分が、顔に出てしまっていたのだろうか。
 リーネが心配そうに立っている。
「いや、そんなことないよ。すごく美味しい」
「良かった」
 そう言って笑う、リーネの柔らかい雰囲気にちょっとだけ癒されたが、
 このもやもやした気持ちは消えなかった。
「はい、エイラさん、お茶です!」
「ん」
 ミヤフジは私の隣に座り、お茶をくんでくれる。
 面白くない気持ちが膨れ上がっては消えを繰り返し、受け答えがぶっきらぼうになるのを感じる。
「美味しかった。ごちそうさま」
 自分がなんだか子どものようで、情けなくなってくる。
 これ以上サーニャ達の前で無様を晒したくなくて、私はお茶とクッキーを残したまま、
 一人で食堂から出てしまった。
「はぁ……なんだよもう……」
 ぼーっと一人で海を眺める。
次から次へと自己嫌悪が襲ってきて、置いてきてしまったサーニャを気遣う余裕もなかった。
頭をよぎるのは、ミヤフジの顔。
 あいつはすごくイイ奴だ。
 サーニャとも仲良くしてくれるし、いつも一生懸命で、誰からも好かれている。
 私だってミヤフジは嫌いじゃない。
 でも、何故かイライラする。
「あ、エイラさん……」
「……」
 おずおずと、ミヤフジが話しかけてきた。
 いつからそこにいたのかはわからない。
 今来たのかもしれないし、結構長い時間、そこにつったっていたのかもしれない。
「エイラさん……」
「あっちいけ」
 背を向けたまま、再び子どもじみた反応をしてしまう。
「その、私……何かしちゃいましたか?」
「心当たり、あんのかよ」
「……ありません。ごめんなさい……」
「謝んな」
「へ?」
「謝んなよな。お前、なにもしてないんだからさ」
「で、でも……」
 そう。
 悪いのは、私だ。
「あーもー!お前は何も悪いことしてないって言ってんだろ!!」
「ご、ごめんなさい……」
 はぁ、とため息を吐いた。
ミヤフジはどんな顔をしているだろう。
 怒っているだろうか?
 困惑しているだろうか?
 それとも、悲しんでいるだろうか?
「なぁ、ミヤフジ。ちょっと座れよ」
 そう言って、私は隣をぽんぽんと叩いた。
 ミヤフジは黙って腰を降ろし、俯いている。
「ごめんな」
 言いたいことがまとまらない。
 だから、今一番言いたいことだけを、端的に伝えた。
「え!?」
「いや、ごめん。その、なんて言っていいかわかんないけど……私が悪かったよ」
「そ、そんな!エイラさんが悪いなんて!!」
「なんかさ、お前と話してると、すっごい子どもっぽくなるんだ。
 本当はもっと頼れる先輩でいたいんだけど、なんでだろうな。
 サーニャと、お前の二人だけには、ちょっと上手くいかない」
 ミヤフジは何も言わず、ぼーっとこっちを見ている。
 それを無視して続けた。
「今日もさ、なんかお前とサーニャの仲いいところ見て、変にイライラしちゃってさ。
 子どもかっての。
 なっさけないよなー」
「エイラさん……」
「ん?」
「エイラさん……可愛いです!」
「はぁ!?」
 ミヤフジはじゃれつく子犬のように飛び掛ってきて、右腕を私の顔に回し、抱きしめた。
 微かに膨らんだ胸が私の頬に当たって潰れる。
「お、おい、ミヤフジ!?」
「大丈夫ですよ、私サーニャちゃんを取ったりしませんから」
 別にそういうことじゃない、はず。
 多分。
 なんとなく、年上の女性に慰められているような気分で、気恥ずかしい。
 ミヤフジのくせに。
「はぁ……エイラさんもやっぱり女の子なんですね……」
 どういう意味だ……ん?
ふと、胸に何か触っていることに気付き、冷静になった。
状況を確認。私を抱きしめるミヤフジの腕は、右腕一本。
 じゃあ、左の腕は?
「なあ、ミヤフジ」
「なんですか?」
「私の胸を触ってるこの左手は何だ!!?」
「あっ!!!」
 ちょっとイイ話になりかけたのに、やっぱりミヤフジはミヤフジだ。
でも、お陰でもうイライラはなくなった。
「あんがと」
 タンコブの出来た頭を抱えて蹲るミヤフジに、私はそっと言ってやった。



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