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スオムス文庫 坂イラ-1-1『酒は飲んでも飲まれるな』

 私は中々寝付けず、基地の周りを散歩していていた。
 昨晩の夜間哨戒のことを思い出し、ささやかな幸せに浸る。
サーニャは今夜も夜間哨戒だ。
 大丈夫かな。ネウロイと遭遇していなければいいけど。
そうして上を見上げた私は、坂本少佐の部屋から、明かりが洩れていることに気が付いた。
 少佐は早朝から自主訓練をしている。
 床につくのも早いと聞いていた。珍しい。
少佐とは訓練や軍務以外での付き合いが薄く、あまり雑談らしい雑談をしたことがなかった。
いい機会かもしれない。
忙しかったら詫びておとなしく部屋に戻ろう。
 そう考え、私は少佐の部屋を訪ねた。
 ノックをすると、入れ、と言われる。
 扉を開けた私に、寝間着姿の少佐は少し、意外そうな目を向けた。
「どうしたんだ、こんな時間に」
「いや、大したことじゃないんだけど。
 まだ寝ないんだったら話でもどうかなって……ん?それ、なんだ?」
 少佐は右手に小さな器を、もう片方の手には、大きな瓶を持っていた。
「これか?これは扶桑の酒だ」
 瓶を掲げて言う少佐。
 小さい器はサカズキ、というらしい。嬉しげに教えてくれた。
「よし、エイラ。
 折角だ。お前も付き合え」
「え?」
「話をしに来たんだろう?
 付き合ってやるから、お前も飲んでいけ」
 そう言って、少佐は高らかに笑った。
 よく見ると少佐の頬にはほんのりと紅が差していて、心なしか目付きも、日頃より柔らかい。
「ほら、そんなところにつったっていないで、こっちに来て座れ。
 遠慮はいらん。無礼講だ」
 この人、絶対絡み酒だ……。
 断ると面倒そうなので、おとなしく少佐の向かいに腰をおろした。
「……少佐、酔ってるのか?」
「なんのこれしき。
 さぁ、お前も飲め」
 そういって、少佐は手に持っていたサカズキに酒を注ぎ、私の前に置いた。
「すまんが、盃はこれしかない。
 まぁ、同性だ。構わんだろう?」
「あ、ああ……」
 少佐は私をじっと見つめている。
 飲みっぷりを見てやろうというのだろうが、
 少佐の口が着いたサカズキを、しかも本人の注視する前で飲めと言われた私は、
 ちょっとばかし、ドキドキしてしまう。
ええい、やってやる!
ぐいっと一口に、サカズキを呷った。
 ぬるくて、ほんのちょっとだけ粘りのある液体が私の舌に触れ、不思議な甘みを感じさせた。
 それは喉を通り、胃に届き、ちょっとだけ熱を放つ。
「いい飲みっぷりだ!」
 少佐は満足気に笑ってサカズキをひったくると、自分で注いで一気に飲んだ。
「甘いんだな」
「飲みやすいだろう?だが、飲み過ぎるなよ。
 甘さに騙されていると、ひどいしっぺ返しを食う」
 確かにそうかもしれない。
 まぁ、酒全般に言えることでもあるが。
「しかし、お前とはそれなりの付き合いになるが……。
 二人で話すのは初めてか?」
「かもな。よく覚えてないけど」
「イケる口だと分かっていたら、もっと誘うのだった。
 ミーナぐらいしか相手がいなくてな」
「隊長は飲みそうだな。
 どっちかというと、ワインってイメージだけど」
「はっはっは!そうかもしれん!
 だが、最近は書類の仕事が増えてな……。
 疲れているようで、誘うに誘えん」
 少し、遠くを見るように言う少佐。
おそらく、二人には二人の決め事があって、それにしたがって役割を分担している。
 私が立ち入っていい話ではない。
やや間をおいて、話題を変えた。
「酒といえば、原隊にいた頃なんだけど、ニパって奴がいてさ」
「502のカタヤイネン曹長か?」
「知ってるのか?」
「有名だからな、ついてないカタヤイネンは」
 しばらく連絡をとっていないが、相変わらず幸運の女神には嫌われているらしい。
 私たちはしばらく、お互いの原隊時代の笑い話を肴に、酒を楽しんだ。
「えいらぁ!さけっ!つげっ!」
「がってんだっ!」
 どれくらい飲んでいただろう。
 私たちはもうべろんべろんで、何時の間にやらお互いに肩を組み、
 外れた調子でお国の唄を歌ったり、意味もなく仲間の名前を叫んだりしていた。
「さーにゃはかわいいぞー!!!」
「うちのみやふじもまけてはいなーい!!!!」
「なにをー!」
「もんくあるのかー!」
「みやふじなんてただのまめしばだ!だけんだ!だきしめたいぞこのやろー!!」
「よくいった!だが、きさまにうちのむすめはやらん!
 みやふじがほしければわたしをたおしてみせろ!」
「やってやらー!!!!」
 もう上がりきったテンションに任せて私たちは騒ぎ、巫山戯て組み合っては転がってを繰り返した。
少佐の寝間着がはだけ、形の良い胸が飛び出す。
 私の下着も、どこかへ行ってしまった。
 それでもお互いじゃれあうのはやめず、いつの間にか、二人は畳の上で重なった。
覚えているのは、そこまでだ。
翌朝、裸で抱き合うようにして寝ていたことに気づいた少佐と私は大いに混乱し、
 バツの悪い笑顔でお茶を濁したのだった。



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