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スオムス文庫 サニャイラ-4-1『酒禍事件後始末』

酒は飲んでも飲まれるなの続きです





 ある意味ネウロイよりも手強い睡魔と闘いつつ、なんとか自分の部屋へ辿り着こうとしていた私は、
 部屋の前で、眠気が一気に吹き飛ぶような光景に遭遇した。
「エイ、ラ……?それ、何……?」
「げっ!?サ、サササササーニャ!!?」
 あからさまに動転したエイラは、見慣れない軍服を着ている。
 いや、正確には、エイラのものではない軍服を、だ。
「その軍服……扶桑海軍の……」
「ち、違うんだサーニャ!こ、これは、その……」
「坂本少佐のよね……?
 なんでエイラが着ているの……?」
「えと、あーっと……ひ、拾った!そう、拾ったんだ」
 いくらなんでも、この言い訳は酷い。
もう睡魔なんて木っ端微塵、頭に血を上らせた私は、つい強い調子で、エイラに当たってしまう。
「脱いで」
「えっ」
「すぐにその服を脱いで」
 困惑して、視線を左右に揺らすエイラ。
 いらいらする。
ただ、他の人の服を着ているだけなのに、無性にそれが許せない。
「脱ぎたくないの……?」
「い、いや!脱ぐ!脱ぐけど、せめて部屋の中に」
 そこから先は聞かなかった。
 荒っぽく扉を開け、エイラを部屋へ引っ張り込む。
エイラの力なら逆らえただろうに、抵抗はなくて、それもまた気に触った。
「入ったわ」
「う、うん……」
 エイラはもじもじと、脱ぐのをためらう。
私はもう、何を言うつもりもなかった。
 エイラが脱がないなら、私が脱がす。
 そして少佐にお返しして、全部終わりだ。
ボタンに手をかけようとすると、エイラは慌てたように手を払いのけ、後ろへ2歩、後退った。
「どう、して……?」
 怒りと困惑とが、際限なく溢れてくる。
 胸が苦しくなって、視界の端が潤んだ。
 そこから何も続けられずに立ち尽くし、エイラを見ていた。
「サ、サーニャ……」
 だが、エイラが自身、今にも死んでしまいたいというような顔で、
 ごめんだとか、そんなつもりはなかっただとか、呟いている。
「エイラ……お願い。脱いで」
 私は持てる理性を全部使って、なんとか搾り出した。
 これで拒否されたら?そんな事、考えてはいなかった。
 ただ、祈るような気持ちで、脱いでくれるのを待っていた。
 エイラは数秒逡巡したが、やがて詰襟に手をかけ、軍服のボタンを外し始める。
私は息を飲んだ。
軍服の下には何一つ身につけているものがなくて、
 透き通るように白い肌には、所々赤い斑点が散らばっている。
「夕べ、坂本少佐の部屋で酒飲んでたんだ……」
 呆然としている私に、エイラは観念しきった囚人のような語り口で、
 ぽつぽつと喋りだしたのだった。
「途中までは覚えてる。
 友達の話とか、故郷の話だとか、唄も、確か歌ったな。
 でも、その後記憶がなくて……。そ
 れで、その、起きたら私の身体はこうで、二人共何も着てなくて……それで、それで……」
 エイラはぽろぽろと、大粒の涙を零しながら、必死に言葉を紡ぐ。
 まるで私に許しを乞うように。
私はエイラを突き飛ばした。
「あうっ」
 情けない声をあげて、床に尻餅をつくエイラ。
どうしよう。
 いらいらが止まらない。
 さっきまでより、ずっといらいらする。
 許せない。
 泣きながら私を見るエイラに、私は抱きついた。
 耳元で困惑したように私の名前が呼ばれたが、今はすごく、どうでもいいものに感じられた。
私の視線は、首筋の赤い模様に注がれている。
 これだ。
 これを見ると、凄くいらいらする。
指で擦っても、それは消えない。
 舌で舐めてみる。
 妖しい光が加わるだけで、なんだか余計にいらいらさせられた。
こんなもの。
模様に歯を突き立てた。
呻き声が私の耳をくすぐり、ちょっとだけいらいらが薄れた。
 さらに少し、力を加える。
 エイラはなんだか的はずれな言葉を、うわ言のように呟いた。
やがて口の中に血の味が広がった所で、一度口を離した。
さっきまでの赤い模様は、私の歯型で上書きされ、赤い血と、私の唾液で濡れている。
エイラが私の名前を呼んだ。
それには答えず、もう一度歯形へ口を近づけ、血を舐めとる。
 さっきの呻き声とは違う、上ずったような声が上がった。
 喘ぎ声と言ってもいいかもしれない。
 私はミルクを舐める子猫のように、夢中で傷を舐めていた。
どれくらい経っただろう。
我に帰ったのは、血の味がほとんどしなくなってからだった。
「さ、サーニャ……?」
「エイラ……。
 ごめん……痛かった……?」
 エイラは困惑した顔のまま、ふるふると首を振った。
優しくエイラの首筋を撫でると、私の着けたマークがしっかりと存在していた。
 ちょっとの自己嫌悪と、たくさんの満足感。
 どうしてこんな気持ちになるのか、それをちゃんと理解するには、私はまだ幼いんだろう。
だが、一つだけ言えることがある。
 エイラにマークを着けていいのは、私だけだ。



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