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スオムス文庫 エイリカ-2-1『トレジャー2』

 この日、私は並々ならぬ決心と共に、思い出しうる限りでは経験したことのない難易度の、
 危険な任務に着こうとしていた。
相棒は文字通り二本の棒。
 ダウジングロッド。
 戦地は宿舎、ハルトマン・バルクホルンの部屋、ジークフリート線左。
 目標は私の恥ずかしい写真だ。
両名がいない間に写真を見つけ出し、速やかに回収・破棄を成し遂げなくてはいけない。
 私は部屋に入るに当たり、常時魔法を発動しておくことにした。
 こうしておけば、部屋の主が近づいてきたところで、未然に察知し、身を隠すことが出来る。
「頼むぞ相棒……!」
 相棒を握り締め、扉を開ける。
 よし、誰もいない。
 私は抜き足差し足、物音を立てないように部屋へ入り、ゆっくりと扉を閉めた。
 さぁ、取り掛かろう。
「さーて、写真どこだー……うぇ!?」
 早くも絶望的な気分に襲われた。
 なぜなら、頼もしき相棒はあっちを向いたりこっちをむいたり、
 まるで部屋を物色する泥棒のような落ち着きの無さを見せていたからだ。
 しかも、この部屋の汚さ。
 衣類や本、勲章、挙句には支給された護身用の拳銃までごちゃごちゃになって、山を作っている。
 正直、これをひっくり返すのは、非常に躊躇われる。
「で、でも……やるしかない!」
 そうだ。あんな写真をサーニャに見られて生き恥を晒すくらいなら、
 ゴミ山をひっくり返すくらい、何でもないじゃないか。
私は早速ひとつの山を掘り始めた。
「あーもー……汚ねーな……」
 しかし、掘れば掘るほど散らかる始末で、これじゃあ目標の写真が出てきても見失ってしまうだろう。
 仕方がない、少し整理しつつ作業をすすめるとするか……。
 後で部屋を出る時に散らかしてしまえば、バレずに済むだろう。
 脱ぎっぱなしのズボンに靴下、シャツ。
 とりあえずこれは畳む。本は端っこに集めておき、後で中身を見て分類しよう。
 これは……勲章?
 バルクホルン大尉が見たら卒倒するな……。
何だかんだで綺麗好きな私は、いつの間にか発掘作業そっちのけで、部屋の整理に没頭してしまった。
 本来の目的を思い出せたのは、一枚の写真を見つけたからだ。
「これ……」
 写真はブリタニア基地にいた頃、ハルトマンが勲章を授与された時のものだ。
 確かこの時、ズボンを巡ってひと騒動あった。
「この人も変わんねーよなー……」
 戦闘の時はあんなに頼れるのに、普段はどうしてこうなんだろう。
 まさかわざとやってるんじゃないだろうな。
 ……っと、あまり他人の部屋の物を物色するのは良い趣味とは言えない。
 作業を再開しよう。
見つからないままに時間ばかりが……いや、部屋の片付けばかりが進んでいく。
日も沈みかけてきて、今日は一旦諦めよう。
 そう思った時だった。
「まったくハルトマンの奴……。
 今日はミーティングだというのに一体どこで……」
 ヤバい!大尉だ!
片付けに集中するうち、いつの間にか魔法の発動をやめてしまっていたのだ。
 私としたことが!
慌てて隠れる場所を探すが、ゴミ山かベッドしかない。
 拳銃やナイフが埋まってるゴミの山に入るのは、ちょっとばかりぞっとしない。
なら、ベッドだ!
「おい、いるのかハルトマン!!」
 バンッ!と音を立てて扉を開ける大尉。
 間一髪、私は布団に潜り込んでいた。
「ん……!?こ、これは!?」
 部屋は家探ししたまま……。
 私は冷や汗をかいていたが、
「そうか……ハルトマンの奴、ついに部屋を掃除する気になったか!!」
大尉は思った以上に単純な人だった。
 そのまま鼻歌でも歌いそうな程の上機嫌で部屋を出ていき、とりあえず一安心。
 私は息を付いた。
「ふぅ、危ねー……。
 今日はもうやめとくかー……」
「えー?やめちゃうの?」
「だっていつ大尉と中尉が帰ってくるかわからな……!?」
「いいじゃーん。つづけてよー」
 私の首に絡み付いてくる白い腕。
 背中に平らな胸が押し付けられ、顔は私の耳にキスしそうな位置にあった。
「い、いつからそこに……」
「昨日の夜から、かな?」
 何のことはない、この人はずっとここで寝ていたんだ!
「ねーエイラー。
 おーねーがーいー」
 耳に口を近づけて呟く。
 相手はハルトマンだというのに、不覚にもぞくぞくしてしまった。
「じゃあ、交換条件だ。
 エイラが掃除してくれたら、あの写真あげる」
「なっ!?」
「悪い条件じゃないでしょ?」
 ふっふー、と悪魔の微笑みが。
 この人、最初から全部見てたのか……!
 結局私は観念し、上機嫌で帰ってきたバルクホルン大尉の表情が凍りつくまで、
 汗だくで労働に励んだのだった。
対価は得られたが、その写真は既にサーニャに渡っていたとのことで、
 結局ハルトマンのひとり勝ち。
 まぁ、サーニャはその写真を気に入って大事にしてくれてるみたいだから、良いんだけど……。



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