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スオムス文庫 サニャイラ-3-5『Small World 5』

 結論から言えば、私はバルクホルン大尉のクローゼットにしまわれていた。
 その事実を知ったのは大分後だ。
 というか、私はサーニャの泣きそうな顔を見るまで、
 ずっと自分のベッドで寝ていたとばかり思っていた。
ここからは、ハルトマンから聞いた話だ。
朝、サーニャが部屋に帰ると、いるはずの私がいない。
 早朝で他は誰も起きていないはずの時間だし、トイレにでも行っているのだろうと思ったそうだ。
だが、待てども待てども私は帰らない。
サーニャは眠気を堪え、部屋を出て探し始めた。
 ふらふらと、私の名前を呟きながら基地中を歩きまわるサーニャ。
起床の時間になっても、朝食の時間になっても私は見つからない。
 流石に只事ではない。サーニャは隊長にこのことを打ち明けた。
早速調査が始まった。
隊長とハルトマンは第一容疑者の確保、坂本少佐とペリーヌはその尋問に当たった。
ミヤフジ、リーネはサーニャとともに基地内を、シャーリーとルッキーニは基地周辺を捜索した。
捜索組が成果を上げられず焦りを深める中、容疑者は一向に口を割らない。
 皆が苛つく中、あざ笑うかのように沈黙する容疑者。
ついに業を煮やした隊長は、ペリーヌ式魔導尋問機の使用に踏み切った。
容疑者の咆哮が基地を震わせ、アドリア海へと消えていく。
 一段、また一段と上げられていく電圧にも、容疑者は無言を通した。
だが、それでもこいつは何か知っている。皆の心は一つだった。
やがて、尋問班の一人ハルトマンは、容疑者の耳元で悪魔の囁きを呟いた。
「クリス」
容疑者の家族を盾にとったようなものだ。
 非人道的とも言える。
 だが、仲間を救うため、他に手段はなかった。
そしてこの一言は、容疑者に大きな動揺を与えた。
 それだけはやめてくれ、と涙ながらに懇願する容疑者。
「なら、わかるわよね?」
 ミーナ隊長の冷徹な一言が、容疑者を突き刺す。
容疑者は罪を認めた。
彼女にとっては、妹が全てだった。
 離れ離れで暮らすのが辛く、一日だけでも自分の手で世話をしたかった。
ぽつぽつと語る容疑者に、その場の誰もが同情を禁じ得無かった。
最終的に、容疑者は一週間の自室禁固を申し渡され、事件は終わった。
その晩、食堂にみんなで集まり、ご苦労さん会ということで、ささやかな宴会が開かれた。
「そんなことがあったのか……」
 詳しく話を聞かされて、愕然とする。
「エイラ、気づいてなかったの……?」
「ずっと寝てたからな……。夕べのパーティーで疲れてたし……」
 だが、こうして私は、再びサーニャの膝の上に戻ることが出来た。
501のみんなには、感謝してもし足りない。
「でも、一週間の自室禁固はちょっと行き過ぎじゃないか?
 確かに怖いけど、害意があったわけじゃないんだし……」
 サーニャは答えなかった。
 犯人に対して、相当怒っているらしい。
「ああ……それね。
 休暇が溜まってるから、自室禁固ってことにして、ミーナが強制的に休暇取らせたの」
 代わりに、ハルトマンが説明してくれた。
 ついでにトイレを含む基地内の掃除もやらされるのだとか。
 いくら休まない人とはいえ、強制的に貴重な休暇を使わされ、
 挙句労働に従事させられるとは。
 しっかり罰を兼ねている当たり、隊長は恐ろしい。
「エイラやサーニャんにはちょっと甘いって感じるかもしれないけど、
 トゥルーデはトゥルーデで参ってたんだ。
 そこへ急に昔の妹を思い出させるような事が起きたから……。
 お願い、勘弁したげて」
 仲の良いハルトマンに頭を下げられ、渋々と頷くサーニャ。
 私はもとより、異存無い。
「しかし、今後もこういうようなことが続くのであれば、流石に笑い話では済まされんな」
「そうね、美緒。
 とりあえずサーニャさんが出撃するときは、宮藤さん達の部屋で寝てもらいましょう」
「根本的な解決にはなっていない気もするが……」
「そうね……」
 私が元の大きさに戻らない限り、容疑者は何度も事件を繰り返すってことか。
 流石に嫌だな……。
「いっそ、希望を叶えてやるか……」
「それしかなさそうだけど……」
 こちらに向けられる二組の視線。
薄々予感はしていたけど、嫌だな……。
「だめです……!」
 サーニャが珍しく強い調子で言った。
「エイラの世話は私がやります……!」
 他に言いたいことはあるけど、ミーナ隊長やハルトマンに遠慮した、という感じだ。
そういう話じゃないってことくらい、サーニャもわかってる。
困ったように目を見合わせる隊長と少佐。
後は私次第って感じだ。
仕方がない。本当に仕方がない。
「はぁ……。いいよ、私やる」
「エイラ……!」
 サーニャが非難するような目で私を見た。
でも、例えサーニャが嫌でも、私はやらなきゃいけないと思う。
だって、今の私は空を飛べない。
身体も弱くて、みんなの役に立てない。
それでも私を仲間として、
 一日潰してまで基地中探しまわってくれたみんなの為に出来ることがあるのなら、私はそれをやりたい。
「でも、たまにだかんな。毎日は私も嫌だ」
「わかったわ。……ありがとう」
 隊長はほっとした表情を浮かべた。
 サーニャも、最終的には納得してくれたみたいだ。
犯人に同情してというより、私の気持ちを尊重してのようだけど。



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