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スオムス文庫 ナオニパ-1-1『オラーシャのある夜』

 私は自室でコーヒーを飲んでいた。
やはり寒い日は温かい飲み物に限る。
 昔の同僚は、コーヒーよりも酒を飲みたがる連中が多かったけれど。
「うわああああああああああああああ!!!!」
 外から叫び声が聞こえた気がする。
今日は確か、カンノとクルピンスキー中尉が訓練で空を飛んでいるはずだ。
 私はストライカーが修理中で、隊長から休めと言われてしまったので参加していない。
そうこうしているうちにも叫び声はどんどん近づき、
 気のせいであって欲しいのだが、ストライカーのエンジン音まで聞こえてきた。
まさかね。いくら私に運がないと言ったって。
 自分にそう言い聞かせつつ、私はコーヒーを持ったまま、部屋の隅へと移動した。
 窓から様子を覗き込みたい気持ちはあるが、なんとなく、後悔しそう。
悪い予感は的中した。
シールドを張ったカンノが、猛スピードで壁を吹き飛ばし、私の部屋へ侵入してきた。
 さらに、小さな破壊者は壁一枚では満足出来なかったらしく、
 シールドを貼ったまま部屋中を跳ね回って滅茶苦茶にした挙句、
 私を床へ押し倒してようやく動きを止めた。
「いてて……」
「っ痛う……。ああ、ニパ、お前がいてくれて助かったよ」
 私の胸に顔を埋めたまま、カンノは呟いた。
 もごもごしててなんかくすぐったい。
 エンジンの音がまた近づいてきて、壁の無くなった私の部屋へ、
 ストライカーを履いたままクルピンスキー中尉が入ってきた。
「あちゃあ……。随分と派手にやったもんだね、ナオちゃん」
「いきなりストライカーが煙吹いて動かせなくなったんだ!オレのせいじゃない!!」
「まるでニパ君が乗り移ったみたいだね」
「ニパ!お前オレのストライカーに触りやがったな!!」
「そんなわけないだろ!
 それより、いつまで私の上に乗ってるのさ……。早くどいてよ……」
 カンノはそこでようやく自分の体勢に気付いたらしい。
顔を赤くして、ばっと飛び退いた。
「ま、仕方が無いね……。
 ほら、熊さんとこに報告に行こう。ニパ君も一緒のほうがいいな。
 オラーシャの冬を、こんな部屋で過ごしたくはないだろ?」
 まったく同感だ。
中尉の報告を聞くにつれ、サーシャ大尉はの顔はどんどん青ざめていった。
「部屋は、もう、空いてないんですが……」
「うえ……」
 そういえば、シモハラが来て、最後の空き部屋に入ってしまったのだった。
 こうなったら、ハンガーで寝るしかないか……。
 寒くても、風に吹き付けられながら寝るよりは何倍もマシだろう。
「じゃあ、しょうがないよね。ニパ君はしばらく、ナオちゃんの部屋で寝てもらおう」
「「ええ!?」」
 私とカンノは同時に声を出した。
中尉は何故か楽しそうに私たちを見て、
「だって、ニパ君の部屋を壊しちゃったのはナオちゃんでしょ?」
「でも、オレが悪いんじゃ」
「確かに、ストライカーの故障で不可抗力とは言え、管野さんが部屋を壊したのは事実です。
 修理が終わるまでは、それが妥当かもしれませんね……」
「大尉まで!」
「それにさ。ナオちゃんは良いの?部屋を壊しちゃったせいで、ニパ君が凍死しても。
 化けて出るかもしれないね。カンノサエヘヤヲコワサナケレバー……って」
「くっ……」
 話は決まりだった。私の意志とは関係なしに。
これからしばらく、カンノは不機嫌なんだろうなぁ……。
 まぁ、凍死するよりはずっと良いか。
夕食の後、早速私は生き残った私物を、カンノの部屋へと運び込んだ。
 悲しいことに、それはバッグ一つ分しか無い。
 お気に入りの時計や、スオムスから持ち込んだ本もおじゃんだ。
「はぁ……。どこで寝よっかな……」
 部屋の隅にバッグを置き、辺りを見回した。
ガサツなカンノの部屋なのに、結構綺麗だ。
 その上、本棚にはぎっしり本が詰まっていて、誰か別の人の部屋なんじゃないかと思ってしまう。
「ベッドはお前使えよ。オレは床で寝る」
 カンノはそう言ってくれたけど、居候の身としては、流石に頷きかねる。
「良いんだよ。扶桑じゃベッドなんて無いし。みんな床に布団敷いて寝てる」
 本当なのだろうか。
何だかんだで部屋を壊したことを気にしているようだし、そのせいじゃないだろうな。
 いいよ。いいからお前使えよ。いいって。いいから。
そんな感じで譲りあうこと5分。
 一向に解決を見ないので、私は折衷案を出すことにした。
「じゃあ一緒にベッドで寝ようよ。オラーシャは寒いし」
 良案だろう。
 スオムスにいた頃は毛布が何枚あっても足りなくて、戦友達と身を寄せ合って冬を越したものだ。
だが、カンノはお気に召さなかったらしい。顔を真赤にして、
「な、なななななな、何いってんだお前!馬鹿じゃないのか!?」
「?何を怒ってるんだ?」
 まさか、あの伯爵、クルピンスキー中尉みたいなことをすると思ってるんじゃないだろうな。
 流石に心外だ。
「し、しらねぇ!オレは床で寝るからな!!」
 そういって、カンノは布団も敷かず横になり、いびきを立て始めた。
寝入る速さにも驚いたが、頑固さも相当なものだ。
 仕草が一々きかん坊と言った風で、呆れてしまう。
ただ、このままだとカンノが風邪を引く。
「やれやれ……」
溜息をつくと、私はカンノを抱き上げ、一緒にベッドに入った。
カンノは体温が高くて、あったかい。
それが心地良くて、私もすぐに眠りに落ちた。
翌朝。カンノは同衾していたことを知り、顔を真赤にして私を罵った。
だが、やはり二人で寝ると暖かったらしい。
 その夜からは、何も言わず一緒に寝ることになったのだった。



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