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スオムス文庫 アレニパ-1-1『やんくま その1』

 最近”サーシャ”大尉が優しい。
少し前までは、なにかある度にセイザさせられていたというのに、この頃はそれが全くなくなった。
それだけじゃない。
私のストライカーの整備は大尉が直々にやってくれることになり、他の整備兵には一切さわらせないという徹底ぶりだ。
一度お礼を言うと、なんだか熱っぽい目で気にしないでくださいと言われた。ちょっと怖い。
そんなことを考えながら歩いていると、トレーニングルームから出てきたカンノと鉢合わせした。
「おう」
 相変わらず横柄な態度だが、これでもかなり打ち解けた方だ。最初は全く取り付く島もなかったのだ。
「これからシャワー?」
「まあな。午後から訓練で飛ぶし、風呂はその後にする」
「良いなぁ……。私は今日も飛べないよ。こないだ壊したストライカーが、まだ直ってないんだ」
「贅沢言うなよ。大尉に整備してもらってんだろ」
「迷惑かけっぱなし。申し訳なくて、毎日胃が痛い……」
 そんな話をしながらハンガーの前を通りかかると、まさに噂をすればなんとやら。オイルで顔を汚した大尉と出くわした。
「あら。こんにちは」
 微笑む大尉。
「あ、その、私のストライカーを……?」
「ええ、丁度時間がありましたから。明日には直ると思いますよ」
「本当ですか!」
 思わず私は大尉の手を握ってしまった。
「わ、し、し、失礼しました!」
「い、いいえ……」
 でも、本当に嬉しい。明日からまた飛べるんだ。
感謝してもし足りない。大尉にどんな事でもしてあげられる。そんな気分だった。
この時までは。
 その晩、私は大尉の部屋に呼び出された。
時間は大分遅い。消灯時間が大分近づいている。
「失礼します」
 大尉の部屋は綺麗に片付いていて、ところどころに可愛いらしい小物が置いてあった。
私やカンノと違い、女の子らしい部屋だ。
「ごめんなさい、こんな時間に呼び出してしまって」
「あ、いや、とんでもないです……」
 大尉は上に黒いパーカーを着ていて、下は素足だった。なんだか新鮮だ。
 だが、そんな大尉に見惚れてもいられない。上官に呼出を受けたのだ。
大尉は上機嫌な風で、お茶を入れてくれている。
悪い話ではなさそうだが、ちょっと居心地が悪い。
一向に話を切りだしてくれそうにないので、仕方なく、私から口を開くことにした。
「それで、その……。私、何かしたでしょうか」
「え?ああ、来ていただいた理由ですか。ちゃんとお話しますから、まぁ、座っていてください」
 はぐらかされた。
そう言われてしまうとこちらから問い詰めるわけにもいかず、部屋の中を見回したりしながら、大尉が口を開くのを待つ。
大尉は私の前にティーカップを置き、
「友人に頼んで送ってもらった紅茶なんですが……。お口に合うでしょうか」
「いい匂い……、頂きます」
 上官に機体を整備させ、挙句お茶までいれさせる。なんて恐れ多い真似をしているんだ。
「それで、今日来ていただいたのは、カタヤイネンさんにお願いがあるからなんです」
 大尉が話を切り出したのは、お互い一杯目を飲み終わった頃だった。
「おねが、い……?」
 おかしいな……。あたまが、ふらふらする。ねむい、ねむいのかもしれない。
「今、管野さんのお部屋で寝てらっしゃるでしょう?そこから、私の部屋へ移っていただけませんか?」
「ここ、に……?どうして……」
 ねむい。ぼーっとする。
いしきがはっきりしなくて、きをぬくとたいいのことばをおうむがえしにしてしまいそう。
「理由ですか?そうですね……、ちゃんとしたものは後で教えて差し上げます。今はあなたのストライカーのため、ということにしておきましょう」
「すとらいかー……。わたしの……」
 ええ。そういって、たいいはにっこりとわらう。
みたことないくらい、うれしそう。
「もっとあなたのことを教えてくれれば、ストライカーはずっとずっと良くなります」
「そう、なの……」
「勿論。でも、それにはあなたの協力が不可欠。わかりますね」
「きょう、りょく」
 まぶたがおちてきた。
たいいのかおがみえない。
「私の言うとおりにして?そうすれば、貴方を不運から守ってあげる」
 みみもとで、たいいがささやく。たいいのこえ?たいいのこえってこんなこえだったっけ……。なんか、こわいな……。
 こっくり、こっくり。
かくん。
「カタヤイネンさん?……薬が強すぎたかしら……」
 くす、り……?



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