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スオムス文庫 ロスクル-1-1『優しい先生』

 ナオちゃんとニパ君が、格闘戦の訓練をしていた。ストライカーが故障中の私は下から審判だ。
二人の動きを見上げつつ、元気だなあ、なんて年寄り臭い事を呟いている。
最初は互角だったが、段々とニパ君は押され始めた。
格闘戦は扶桑のウィッチのお家芸だというし、ナオちゃんは拳でネウロイ撃墜しちゃうような子だから、ニパ君が押されるのは当然かな。
「伯爵、ちょっといいかしら」
 振り返ると、誰もいない。視線を下に下げて始めて、エディータだとわかる。
「その、一々後ろを振り返ってから視線を下ろすの、やめてもらえないかしら」
「ごめんごめん」
まぁ、声でわかってたんだけどね。
「ところで先生は、あの二人を見てどう思う?」
 二人の動きに視線を戻した。ニパ君が逃げ、ナオちゃんが追いかけるという図式になっている。
「二人とも強引ね」
「やっぱり不安?」
「そうね。そろそろ他のやり方も覚えるべきだわ。フォロー出来る人間が傍についているうちはいい。
 でも、部下を持つようになって、フォローする立場になるとしたら、とてもじゃないけど任せられない」
 要するに、次のステップに進めというわけだ。
「とはいえ……」
「ん?」
「下手に押し付ければ、特に菅野少尉なんかは反発するでしょうしね……。難しいわ」
「先生でも悩むんだね」
「どういう意味よ」
「いや、いい先生だな、と思って」
 エディータはため息を吐いた。
初々しい反応が見られないのはちょっと寂しい。
「それより、ちょっと来なさい。話があるから」
 腕を掴まれ、強引に基地の中へ引っ張り込まれる。
審判がいつの間にか姿を消していたとわかったら、二人とも怒るだろうなぁ。

「強引に部屋に連れ込んで、何をするつもりかぶべっ」
 エディータの部屋のソファーで寛ぎ、真意を問いただそうとしたが、それは先生の投げたクッションで阻まれてしまった。
「はい、これ」
 目の前に置かれたのは、小さな箱。
「これは?」
「開けてみなさい」
 箱の中には、銀色に光るシンプルなイヤリングが一対。
「今日、誕生日でしょう?」
「……あ」
「忘れてたのね。休みも取ってないからそんなことだろうと思ったわ」
 そうか、今日誕生日だったのか。
忘れていたというよりも、考えないようにしていたのかも知れない。20歳がまた一つ近づいたと思うと、自分の年齢が呪わしくなる。
「まぁ、お互い、このくらいの歳になると複雑よね……。それでも一応めでたい日なんだから、ちゃんと覚えておきなさい」
 私は生返事を返した。
誕生日を忘れていたこともそうだけど、まさかプレゼントまでもらえるとは思わなかったから。
「これ、本当にもらってもいいの?」
「何言ってるの。返されても困るんだから、ちゃんと受け取りなさい」
 日頃は厳しいエディータの顔も、なんだか優しく微笑んでいる。
 私は早速、両耳に着けてみた。着ているのは軍服なので、ちぐはぐな感じ。
それでもエディータは、
「似合うじゃない。ちゃんとそれらしい格好をすれば可愛く見えるんだから、気を配りなさい」
 なんてちょっと説教を交えて褒めてくれた。
「でもね、もう少し女らしい格好したほうがいいわよ。胸さえ見なければ男と間違えられても文句言えないわ」
 エディータは一言多いなぁ。
「じゃあ、今度デートしよっか。その時はちゃんと女の子っぽい格好してぶべっ」
 またクッションが飛んできた。
どうも、私にセリフをちゃんと言わせない気らしい。
こうなれば私にだって意地がある。
エディータの背後に立って首に腕を回し、耳元で囁くように、
「ね、デートしよ……ぶがっ」
 今度は裏拳。
「流石にこれはひどくないかな!?」
「あなたのそういうセリフ聞いてると、鳥肌が立ってくるのよ。アレルギーみたいなものだからやめて頂戴」
 くっ。いくら私でも、これは傷つく。
「でも、そうね。ちゃんとエスコートしてくれるなら、夕食ぐらいはご一緒させてもらうわ」
「えっ」
 エディータはにっこり笑い、「不満?」と聞いてきた。
「滅相もない」
 喜んでご案内させて頂きます。
殴られそうなので、最後までは言わなかったけど。
 次の休暇。
私は慌てて街へ出かけ、エディータに気に入って貰えるような店と、服を探すため、一日中かけずり回ることになった。
でも、まぁ、安いものかな。この程度の苦労は。



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