スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スオムス文庫 サニャイラ-7-1『泣かせた』

 エイラは厨房のカウンターに肘をつき、忙しく動きまわる宮藤を眺めつつ呟いた。
「なあ、ミヤフジ……。サーニャって私のこと、どう思ってるんだろうな……」
「えっ。なんですか、いきなり」
「いや、私はサーニャのこと大好きだけど、サーニャはどうなのかなって……。嫌われないように頑張ってるけど、時々不安になんだよな……」
「えー?サーニャちゃんもエイラさんのこと大好きだと思いますけどねー」
 宮藤は会話しながらも、手を止めない。
「思う、じゃ駄目なんだよ!私はサーニャの気持ちが知りたいんだ!」
「じゃあ直接聞けばいいじゃないですか」
「それが出来れば苦労しねー!!」
 カウンターから身を乗り出して叫ぶエイラを、宮藤はようやく手を止めて、微笑みながら見つめ返した。
これでは、どちらが年上か、わかったものではない。
「じゃあ、ハルトマンさんに聞くとか」
「あの人は嘘つくかもしれないからやだ」
「ワガママですねー……」
「うるせー。他にいいアイディアはないのかよー。なーミヤフジー」
「うーん……」
 エイラの子どもらしい一面を見ているのも、何だか可愛くて和むのだが、あまり時間を取られると、夕食の用意が間に合わない。
皆、とにかくよく食べるので、下手をすれば暴動が起きてしまう。
悩んだ宮藤は、つい思いつきで、こんなことを言ってしまった。
「じゃあ、少しつれなくしたらいいんじゃないですか?」
「どういうことだ?」
「あまりお話しないとか、返事を素っ気無くしてみるとか。それでサーニャちゃんの態度に変化が出たら、気持ちがわかるとおもうんですよ」
「なっ!?そ、そんなことして、嫌われたらどうすんだよ!」
「ちゃんとフォローしてあげますから。リーネちゃんや、ハルトマンさんにも協力してもらって」
「む、むうううううううう……」
 エイラはそれから1時間かけて激しく葛藤した後、宮藤にちゃんとフォローするようしつこく念を押し、ようやくその作戦を採用したのだった。
結局、そのせいで夕食はすこしばかり遅れ、宮藤は一部の欠食児童達から、非難を浴びせられることになる。

 エイラは考え込んでいた。
 実際のところ、サーニャとの間に何があったわけでもない。
最初はサーニャの気持ちはどうなのか、という考えが、ふと頭をよぎっただけだった。
しかし、時間が経つにつれてどんどん考えが悪い方向へと向かっていき、ついに耐え切れず宮藤に相談したというわけだ。
「はぁ……。乗るんじゃなかったかな……」
 まさか、サーニャに対してつれない態度を取るのが、ここまで難しいとは思っていなかった。
流石に掃除や洗濯、書類仕事にストライカーの整備と言ったものは、やらないわけにはいかない。
だから会話や挨拶をそういう方向に持っていくことになるのだが、
「おはよう……、エイラ……」
「あっ!おは……!お、おはよ」
「エイラはご飯食べた……?」
「うん!……じ、じゃなくて、わ、私のことはどうでもいいだろ!」
「……?」
 どうにも上手くいかない。
それよりサーニャは不快に思っていないだろうか。宮藤はちゃんとフォローしてくれているんだろうな。
早くも後悔の念に押しつぶされそうになる、エイラだった。

 それから三日が経ち、素っ気無い態度板についてきた。
「おはよう、エイラ……」
「ん」
「ご飯は……」
「いいから食えよ。私の事はいいから」
「う、うん……」
眉間にシワを寄せ、目は細める。口調はとにかくぶっきらぼうに。仕草はどれも気だるげにして、時々溜息も吐いてみせる。
完璧だ。サーニャがいない間、鏡とにらめっこしつつ、練習した成果が、早くも出ている。
宮藤に見せたところ、
「うわー!凄く感じ悪いです!これならいけますね!」
 とお墨付きまでもらえた。
こんな調子で一週間が経過したある日、突然サーニャが泣き出した。
「サ、サササササササーニャ!?」
「ごめんなさい……、ごめんなさい……」
「ど、どうした!?どこか痛いのか!?」
 エイラは慌ててサーニャに駆け寄った。こうなっては、もうつれない態度なんて取っていられなかった。
「私が……、私が……」
「サ、サーニャがどうかしたのか!?」
「私が、迷惑ばっかり、かけるから……。エイラが、私のこと……、嫌いに……っ」
「ち、ちがうぞサーニャ!私はサーニャの事嫌いになんてなってない!」
「嘘……!だって、最近全然お話ししてくれないし、目も合わせてくれない……」
「そっそれは……!」
 サーニャは床にぺたん、と座り込み、ごめんなさいを繰り返しながら泣きじゃくる。
エイラはもう、どうしていいか分からず、事情を全部、話してしまった。
「……っ!エイラの馬鹿……!!」
「いてっ!サーニャ、やめて!モノ投げないで!!」
「馬鹿っ!馬鹿っ!馬鹿ぁ……っ」
 その後、サーニャが泣きつかれて眠るまで、エイラは必死に謝り続けたのだった。

「あの、ハルトマンさん……。本当に何もしなくてよかったんですか?」
「いーのいーの。あの二人にはいい刺激だよ。エイラは泣かせでもしなきゃわかんない馬鹿だからさ」
「は、はぁ……」
 宮藤とハルトマンは、そういうわけで、何もやっていなかったという。



スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

萩原間九郎

Author:萩原間九郎
スオムス文庫やってます。

ご意見感想その他何かありましたら、以下のアドレスか、メールフォームをご利用ください。

hanzou.oohara鼎gmail.com
(鼎を@に変えてください)

管理画面

来客数
Twitter
スオムス文庫目次

クリックするとSSのリストが開きます。

※印のついているものはR-18です。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

リンクに間違っている箇所がありましたら、お手数ですがお知らせお願いします。

【スオムス文庫@501】

【スオムス文庫@502】

【スオムス文庫@504】

【スオムス文庫@いらんこ中隊】

【スオムス文庫@スオムス】

【スオムス文庫@その他】

【スオムスいらん子中隊涙する】

【Strike Witches 1947 - Cold Winter -】

【学パロ】

【各種サンプル(ストライクウィッチーズ)】

【死にたがりの赤ずきんと気の長い狼の迂遠な関係】

【オリジナル】

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
カテゴリ
最新記事
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ
最新コメント
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。