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スオムス文庫 クルマル-1-4『だらだら』

 夕食の後コタツに入り、だらだらと過ごす時間は、いつの間にか欠かせないものになっていた。
 マルセイユは雑誌を、クルピンスキーはマルセイユを、それぞれ楽しそうに眺めている。
 二人ともジャージ姿であり、なんとも気の抜けた雰囲気であった。
 どちらも大人しいもので、互いの足がぶつからないよう、胡座をかいたり斜めに足を伸ばしたり。
 クルピンスキーは、コタツが導入された日こそ色々悪戯しはしたものの、流石に狭いコタツの中。二人ともあちこちぶつけてしまい、痣が出来てしまっていた。
 自分の肌に傷がつく分は一向にかまわないのだが、マルセイユの肌は綺麗なままで保っておきたいらしい。
 それいらい一切やらなくなった。
「なぁ、伯爵。コレ欲しい」
 マルセイユが指し示したのは、大きなテーブルと椅子のセットだった。
「……どこに置くの?」
 二人の済んでいるアパートは狭い。
 元は一人用の所だし、コタツを導入したためさらにスペースは無くなっている。
 しかし復興途中のカールスラントでは、これでも十分上等な部類に入るのだから、これ以上広いところへ引っ越すというのも難しい。
「でも、あのテーブルボロすぎるだろ」
「まあねぇ」
 二組の視線が向かう先には、足がガタガタの、小汚いテーブルがあった。
 大柄なクルピンスキーにそのテーブルは小さすぎ、食事の時などは窮屈な思いをするくらいだ。
 一回り小さいだけのマルセイユも、似た様な思いは抱いているのかもしれない。
「もう一回り小さいのにしようよ」
「まぁ、別に、お前がいいなら良いけどさ……」
「?」
「なんでもない。じゃ、こっちにするか」
 指し示されたものは、サイズこそ小さいものの、値段はさっきより上がっていた。
「だめだめ。高すぎ」
「私も出すんだから良いだろ」
「そういう問題じゃないよ。いくら年金が他より良いとは言え、節約するに越したことはないんだから」
「所帯染みた貴族もいたもんだな」
「実家は公務員だしね。それに、私も軍を辞める気でいるし」
「へぇ。ま、良いんじゃないか。お前みたいなやつが、そう長い時間オフィスに座って仕事やってられるとも思えないしな」
 クルピンスキーはひどいな、と苦笑した。
 だが、事実はその通り。それに加えて、もう少しマルセイユとの時間を作りたかった。
「そしたら、二人で一緒に喫茶店でもやろうか」
「いいなそれ!お前にしてはいいアイディアじゃないか!じゃあ、お前がオーナー兼マスター兼ウェイトレスな」
「ティナは何やるの」
「店の奥で大人しく座っておくさ。私がいるだけで、繁盛するのは間違いないしな」
 確かにそうかもしれない。
 それに、ウェイトレス姿のマルセイユはさぞ可愛いことだろうが、何かの拍子で客を殴り倒してしまっては一大事だ。
「……やっぱやめよっか」
「なんでだよ」
「なんかあまりゆっくりできなさそうだから」
「ふーん」
 マルセイユは別に、贅沢な暮らしをしたがっているわけではないが、時々彼女の琴線に触れるデザインのモノは、大抵値が張る。
 クルピンスキーとしては、彼女の欲しがるものはなんでも満たしてやりたい。それにはふたり分の年金では、ちょっと心細いのだった。
 とはいえ今のこの国では、儲けようと思えば相当な時間と労力を犠牲にして、綱を渡るような、危険な賭けに身を投じなくてはならない。
 二人で穏やかに暮らしたいクルピンスキーにとって、あまり魅力的な洗濯とは言えなかった。
「ま、そんなに悩むなよ。ゆっくり考えればいいことだろ?それより今は新しいテーブルだ」
「ふふ、そうだね。じゃ、明日買い物ついでに見てこよっか」
「ええ……?寒いのやだなぁ……」
「たまには家から出て日に当たらないと」
 マルセイユはうー、と唸りながら突っ伏した。
 アフリカの星も、すっかり無精者になってしまった。ファンが聞けば泣いてしまうだろう。
 明日は、どうやって連れだそう。
 明日もマルセイユと何かが出来る。
 そう考えるだけで、クルピンスキーは他に何もいらなくなるのだった。



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