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スオムス文庫 サニャイラ-9-1『ズボンはどこに消えた?』

 501が再結集して、数日が経った日の話だ。
 エイラはサーニャを起こさないよう、そっとベッドを下り、伸びをした。
 サーニャは毛布に頭を突っ込むようにして眠っている。最近、何だか寝相が悪い気がする。
 それはそれとして、この日もいい天気だった。
 陽気な太陽の光が窓から差し込み、実に清々しい。
 占うまでもなく、良いことがありそうだ。
「っくしゅん!」
 エイラは小さなくしゃみをした。
 サーニャの方を振り向いたが、起きる様子はない。
 安堵の溜息が漏れた。
(ちょっと肌寒いな……)
 早く上に何か着てしまおう。
 クローゼットを開け、スオムスカラーの軍服を取り出した。
 白いタイツ状のズボンから……。
「って、あれ!?」
 エイラは、自分が下半身に何もまとっていないことに気がついた。
 慌てて引き出しを開け、下履きのズボンを探したが、無い。
 それもそのはずだ。
 ほとんど着の身着のままで、ロマーニャまでやってきたのである。
 補給がつくまでは、3枚のズボンでやりくりしなければならず、1枚は履き、1枚は洗濯、もう1枚は予備というヘビーローテ。
 一日雨が降ると、少し悲惨な事になる。
「昨日は雨だったから、2枚洗濯だとしても……。もう1枚、っていうか、私が履いてたズボンはどこに……」
 部屋中探しまわっても、見当たらない。
 流石にサーニャのズボンを履くわけにもいかず、
「仕方がない……、こいつだけで……」
 外履きの白いズボンのみをまとい、部屋を出た。

 エイラが向かった先は、中庭である。
 宮藤とリーネが洗濯しているはずだ。
「あれ、エイラさん。どうしたんですか?」
「なぁ、ミヤフジ……。私のズボン、洗濯終わってないか……?」
「ズボンですか?昨日雨が降っちゃったので、二枚ともさっき洗ったばかりで……。まだどっちも濡れてますけど」
「うぐぐ……」
「でも、どうしたんですか、突然」
「いや、それは、その……」
 エイラは言い淀んだ。すると、突然後ろに小さな影が現れ、
「こういうことだよねー♪」
 と、勢い良くエイラのズボンを引き下げた。
「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!」
 エイラは絶叫し、真っ赤になる宮藤とリーネ。犯人のハルトマンは楽しげに笑っている。
 まるで少女の物とは思えない叫び声であったが、エイラにそんなことを考える余裕があるはずもなく、ガバッとズボンを引き上げた。
 だが、勢いが着きすぎたせいで、白い布地は大切な部分に喰い込み、くっきりとその形を見せている。
「は、ハルトマンさん……」
 悪戯な笑みを湛える金髪の悪魔は、
「エイラはズボンが無いんだよねー」
 と、何故か事情を知っていた。
 エイラはもじもじと食い込んだズボンを直しつつ、涙目でハルトマンを睨みつけているが、
「おっおまっおまえっ……!」
 どうやら言葉にはならないらしく、意味不明な呟きを繰り返していた。
「別にお風呂で隠したりなんてしてなかったじゃん」
「「それとこれとは別です!!」」
 宮藤とリーネは、代わりに叫んだ。

「聞いたぞ、エイラ。ズボンを探しているらしいな」
 何だか気まずくなってしまい、早々に中庭から退散したエイラは、バルクホルンに捕まってしまった。
「別に、重ね履きの内側が無いくらい、どうということもあるまいに」
 バルクホルンは、呆れるように呟く。
 一緒にするなと、声高に叫びたい気分である。
「まぁ、どうしてもというなら仕方がない。見つかるまで私のを」
「うわー!!うわー!!!!」
 自然な動作でズボンを脱ごうとするバルクホルンを、エイラは慌てて止めた。
「どうした?」
「い、いや、良いから!気にすんなって!」
「そうは言っても、落ち着かんのだろう。私は構わんから」
「うわー!!だから脱ぐなって!!!」
「遠慮しているのか?」
「そういうことじゃねーよ!」
「ふむ……?変なやつだな、今更遠慮するような間柄でもあるまいに……っと」
「だから脱ぐなー!!!!」
「あっ!おい、エイラ!!」
 エイラは駈け出した。
 これ以上、痴女の相手は御免だった。

「結局見つかんなかったなぁ……」
 バルクホルンから逃げたエイラは、今度はハルトマンから話を聞いたルッキーニに追い掛け回され、坂本少佐にそのくらいなんだと説教を食らい、
 脱ぎたてのズボン片手に追いかけてくるバルクホルンと再び追いかけっこを演じた挙句、這々の体で自室に逃げこむことが出来た。
「サーニャ……、はよく寝てるか。起こさなくて良かった……」
 サーニャは相変わらず、エイラの毛布に頭を突っ込んで寝ている。
 苦しくないのだろうか。
「ちゃんと枕で寝かせないと、首痛くするかも……」
 起こしてしまいそうで気は引けるが、後で痛がるサーニャも可哀相だ。
 ズボンを探す前に、ちゃんとした体勢で寝かせてやろう。
 まずは、サーニャのかぶった毛布を取り……。
「あれっ!?」
 顕になったサーニャの頭には、無くなったはずのエイラのズボンが被せられていた。
「……なんで?」

 後日、それはハルトマンによる悪質な悪戯と判明した。
 犯人は被害者にサーニャのズボンを履かせてみたかったなどと供述しており……。
 


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