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スオムス文庫 ジョゼニパ-1-2『泥棒猫は狡賢く』

 ところどころに緑と茶色が見えるだけの、白景色。
 張り詰めた冷気を、ずどん、という鈍い音が震わせた。
「これは凄ぇな……」
「10.0はこないだあげちゃったけど、早まったね……」
 上空で管野とクルピンスキーが、感心したように呟きを漏らした。
 二人の視線の先には、厚く積もった雪があり、そこから2本のストライカーが生えている。
 まだエンジンは回り続けているものの、黒い煙を吹き、行きも絶え絶えといった様子である。
 ややあってエンジンは止まり、煙を吹いたまま、ぽろっと足から抜け落ちた。
「んんんんんんー!!!!!」
 自由になった足が、じたばたと暴れだす。
 上半身が埋まっているせいで苦しいらしい。
「仕方がないね。ナオちゃん、そっちの足もって」
「ウス」
 二人は地上近くまで降りてくると、片方ずつ足をつかみ、一気に上昇した。
 勢い良く粉雪が舞い上がり、冷たさで顔を赤くしたニパの顔が、逆向きに表れた。
「ぶっはぁ!!!助かったぁ……。二人とも、ありが……うわぁー!?」
「あ。わり」
 ニパが礼を言おうとしたのも束の間、管野が手を滑らせ、片足釣りの状態になってしまった。
 今はクルピンスキーが片手で支えている状態である。
「なんていうか、いい眺めだね……」
「中尉!絶対に手を離さないでくださいよ!聞いてます!?」
「え?」
 ぱっと手を離すクルピンスキー。ニパは真っ白な大地へと吸い込まれていき……。
「なんで離すんですかあああああああああああ!!!!」
 二度目の墜落をする寸前で間一髪、管野が抱きとめた。
「ごめんねー!手が滑ったー!」
 全く反省のない謝罪が、降ってくる。ニパは半ば放心状態であった。

「ふむ……。高度2000メートルから落下してほぼ無傷か……。お前、どんな身体しているんだ?」
 ブレイク3人組からの報告を聞いたラルは、心底興味深そうな顔でニパを眺めていた。
「シールド総動員しましたから……。今日の戦闘で一番魔力使いました」
「柔らかい雪がどっさり積もってたのも良かったね」
「ふあ……」
 ニパは疲れた顔で言い、クルピンスキーが付け加えた。管野は退屈そうにあくびをかみ殺していた。
「わかった。もう行ってよろしい」
 ラルは手を振って3人に退室を促し、書類の山に手を伸ばした。
「ああ、そうだ。ニパはジョゼの所へ行け。魔力を使い果たしているのだろう?少しでも痛む部分があれば治療してもらえ」
「あ、了解しました」
 3人が退室した後、ラルは扉を見て、
「どうにかして、カタヤイネンを増やしたりできんものかな……」
 謎の呟きを漏らした。

 ニパは早速ジョゼを見つけ、医務室へと赴いた。
「じゃあ、脱いでください」
「う、うん」
 何故かジョゼが嬉しそうに言うので、ニパが躊躇うと、
「治療できないじゃないですか。早く脱いでください」
 少し強い調子で促された。のそのそとセーターを脱ぎかけていると、
「下も」
「し、下はいいよ!」
「駄目です。隊長にちゃんと治すように言われたんでしょう?命令違反はいけません」
 いつになくジョゼは厳しい。
 これも自分を心配してのことなのだ。
 ニパは自分にそう言い聞かせ、重ねて履いていたズボンを一思いに降ろした。
「では、まずは背中から見ますね。そっち向いてください」
 背中を向けると、ジョゼの温かい手のひらが、右の肩甲骨あたりに触れた。
 そのまま左へ移動して、撫でるように傷の有無を確かめる。
 非常にくすぐったい。
 ニパは体をこわばらせ、終わるのを待った。
「では、立ってください」
 言われた通りにすると、手のひらは素早く尻へと移動した。
「ひ……っ」
「どうしたんですか?どこか、痛みます?」
「ち、違う。いいから、続けて……」
 ジョゼは背中よりも、ずっとずっと丹念に尻を調べていく。
 ニパは顔を赤くし、声が漏れないよう、右手の人差し指を噛み締めた。
「ここ、少し擦り傷がありますね……」
 人差し指が赤くすりむけた部分をつつ、となぞった。
「いっ……!?」
「あ、ここにも……。こんなところにも」
 つつー……、ちょん、ちょん、と指はニパの傷に触れていく。
 そのたびにニパは体を跳ねさせ、ジョゼの目を楽しませた。……本人には全くその気がないのだが。
 ジョゼは丁寧に治癒魔法をかけ、擦り傷をひとつひとつ治していった。
「はい、終わりましたよ……。次は、前を見ますね」
 治癒魔法を使ったせいなのか、はたまた別に要因があるのかは分からないが、ジョゼは頬を上気させ、潤んだ瞳でニパの裸体を眺めていた。
「い、いいっ!もう、いいからっ」
 ニパはこれ以上情けない格好で治療を受けたくないと、セーターとズボンを引っつかみ、着ないうちに廊下へと飛び出した。
「うわっ!?」
 どんっ!と、何かにぶつかった。
 二つの人影が、廊下で尻餅をつく。ニパがぶつかったのは、通りすがったサーシャであった。
「痛ぁ……。すみません、大尉……」
「いたた……。いえ、こちらこ、そ……!?」
 ニパの格好を見て、サーシャは息を飲んだ。
 無理もない。手に持ったズボンとセーターで隠しているとは言え、全裸である。
「あっ!?こ、これはですね!違うんですよ!!」
「な、ななななな何が違うというのですか!こんなところで一体何を……!!!!」
 怒りとも困惑とも取れる顔で、まくし立てるサーシャ。
 普段は戦闘中ですら冷静な彼女だが、この時は何故か呂律が回っておらず、ほとんど何を言っているか聞き取れない。
「あら……。ニパさん、折角お尻の傷治してあげたのに……」
 さらにジョゼが顔を出し、火に油を注ぐ。
「あ、あなた達……!正座!正座です!!!」
「ええー!?」

 ニパは風邪を引いた。
 原因は、裸のまま寒い廊下で説教をされたことによるものだった。
 サーシャはそれ以来、ジョゼの治癒魔法を羨むようになったとかなんとか。



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