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スオムス文庫 サニャイラ-11-1『料理以外は万能なので』

「エイラさんって執事さんの格好似合いそう……」
 コトの発端は、お嬢様であるリーネの、実に何気ないヒトコトだった。
 皆が紅茶を飲む手を止め、一斉にエイラを見る。
 彼女はサーニャの隣で、甲斐甲斐しくお茶の世話を焼いていた。
「サーニャ、お茶のおかわりはどうだ?」
「うん、おねがい……」
「スコーン食べるか?ママレードはどれがいい?」
「オレンジで……」
「ほら、口元に食べかすがついてるぞ。ふいてあげるからじっとしてて……」
「ん……、ありがとう……」
 ああ、なるほど。
 二人を除く九人は、全員同時に深く頷いたのだった。
 リーネは隣の宮藤をこっそりと見やり、
(芳佳ちゃんはメイド……、こっちのメイド服よりも、前雑誌で見た扶桑のメイドさんの服が似合いそうだな……)
 などと考えつつ、たすきをかけて袖をまくり上げた、和服の女性を思い浮かべていた。

 それから少し時が経ち、天気の良いある日の午後。サーニャは基地の裏でリーネを待っていた。
「サーニャちゃん、お待たせ。遅くなってごめんね……。お洗濯がなかなか終わらなくて……」
「いえ、無茶なお願いしたのは私ですから……」
 リーネは脇に大きな紙の袋を抱えていた。
 サーニャの言う無茶なおねがい、というのはそれのことらしい。
「ううん。全然無茶じゃないよ。こんなのでよければいくらでも用意するから。はい、どうぞ」
 サーニャは両手で紙袋を受け取り、中身を確かめると、大事そうにそれを抱えた。
 リーネに頭を下げ、早足で部屋に戻るサーニャ。
 リーネは微笑ましいものを見るように、その背中を見送っていた。

 サーニャが部屋に帰ると、エイラは洗濯物を畳んでいる最中だった。
「あ、サーニャおかえり。今これだけしまっちゃうから」
 自分の制服をベッドに放り出したまま、サーニャのズボンや制服を、丁寧にクローゼットへしまっていく。
「これでよし、と」
 オラーシャカラーの軍服をしまい終えると、青い軍服は放ったらかしにしたまま、やり遂げた顔でサーニャに近づいてきた。
「あ、サーニャ、眠くないか?」
「大丈夫……」
「お茶の時間まではまだ少しあるな……。お腹空いてないか?」
「ううん、平気よ……。それよりエイラ、これ……」
 サーニャはずい、と先ほどの紙袋を、エイラに押し付けた。
「うん?なんだこれ」
 エイラはわけもわからないままに袋を受け取り、中を覗き込んだ。
「これ、服……?」
 丁寧に畳まれた、黒い布が入っていた。
 椅子に腰掛け、袋から布の束を取り出して、テーブルに並べてみると、それはサイズこそ小さめなものの、男性用のズボンにシャツ、ベスト、ネクタイ、革靴と、男装用具と思しき一式が揃っていた。
「あの、サーニャ?これ、なに?」
「エイラに着て欲しくて……」
「わ、私が!?」
「リーネさんにお願いして、用意してもらったの……。ネクタイは私が選んだのよ……」
「サーニャが!?」
「エイラにプレゼント……」
「私に!?」
 チョロいものだった。

「う、うーん……。これは……」
 10分後、そこには男装姿に身を包み、少し困った顔をするエイラがいた。
 服一式はサーニャが細かいところまでサイズを指定した事もあり、見事なまでにぴったり。
 黒を基調とした中で胸元でねずみ色が鈍く光り、また、細いながらも流麗な体のラインは、しっかりと主張されていた。
 サーニャは少しだけ頬を上気させ、満足気に頷いている。
 本当は燕尾服を着せたかったところだが、流石にロマーニャは暑い。
「な、なぁサーニャ……。これ、変じゃないか……?」
「そんなことない……!」
 整った顔立ちの割に、少年的な雰囲気のエイラである。むしろ、こちらの格好の方が、妙に色気があるくらいだ。
 サーニャは仕上げにと、懐から黒いリボンを取り出した。
 そしてエイラの後ろに回ると、色素の薄い髪を手に取り、うなじの辺りでひとつにまとめた。
 これでよし。
 日頃の儚い仕草はどこへやら。サーニャは力強く頷いた。
 そして困惑して恥ずかしがり、部屋を出たがらないエイラを引っ張って、サーニャはそのままの格好で、お茶の時間に出席させた。
 口では嫌だ嫌だと言いつつも、サーニャの喜ぶ様子を見て、満更でもない気分になるエイラであった。



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